相場展望1月14日号 バイデン新政権での大規模刺激策を期待して株価は上昇したが、その実現可能性は?

2021年1月14日 11:21

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)1/12、NYダウ+60ドル高、31,068ドル
  ・バイデン新政権による(1)現金給付600⇒2,000ドル増額、(2)大規模経済対策が米景気回復を促進するとの期待が市場を牽引した。

【前回は】相場展望1月12日号 米政治混乱が相場転換の契機となるか注視 日本株で気になる点に注目

 2)1/13、NYダウ▲8ドル安、31,060ドル
  ・バイデン次期大統領が1/14に発表する予定の追加経済対策への期待が支えたが、直近で上昇が目立った景気敏感株に利益確定売りがでて、相場の重荷になった。(日経新聞)

●2.米金利利上げに注目され始める

 1)アトランタ連銀のボスティック総裁は1/11、コロナ禍からの回復が想定以上に早く、「早ければ2022年の中ごろに利上げがあり得る」と語ったと伝わった。

 2)FRBは、利上げ再開は2023年までは利上げしないとしていた。

 3)しかし、米長期金利は上昇し1%台に乗せたことを受けて、早期の利上げを投資家は意識し始めており、株式市場の悪化につながるおそれがある。

●3.バイデン民主党政権の議会支配力と、大規模財政支出法案の可能性を探る

 1)今回は民主党が、大統領と議会多数で支配?
  ・しかし、民主党は議会では圧倒的多数ではない。
  ・特に上院議会の構成比は50:50でハリス副大統領の1票でかろうじて多数となっているに過ぎない。民主党上院議員が1人でも欠けると、つまり民主党上院議員の辞職・死亡や反対議員で均衡が破られ、上院が共和党支配に簡単に覆されるという薄氷の多数派なのである。現状は圧倒的多数ではなく、比較多数派に過ぎない。
  ・しかも、民主党内には穏健派と急進左派を抱えており、一枚岩ではない。法案によっては、民主党穏健派の中から共和党寄りの立場で投票する議員も抱えている。

 2)昨年11月の下院選挙でも、民主党支配だが、共和党の攻勢で議席数が狭まった。
  ・議席数差は選挙前に14議席あったが、選挙結果で4議席の僅差となった。

 3)つまり、議会上下両院における民主党支配は必ずしも安定的とはいえない。

 4)バイデン次期大統領は政策実現のために、共和党だけではなく、民主党の中での調整にも腐心することになる。

 5)元来、民主党は基盤の労働者向けの歳出拡大となる「大きな政府」を目指すのに対し、共和党は企業を基盤として企業負担が少なくなる歳出の「小さな政府」を指向してきた。このため、民主党が提案する大規模な財政支出法案は、かなり減額して、共和党と合意せざるを得ない状況にあるとみている。

 6)増税案は、政府支出拡大を支える歳入の重要法案であるが、合意に時間がかかるため前例通り1年半後に先送りされる可能性がある。また、金融業界と巨大ハイテク企業への規制強化も先送りとなる公算が高い。この先送りは、株式市場から賛意を得られるだろう。

 7)株式市場では民主党の大規模財政支出を期待して株価上昇したが、上記の事情で、株式市場の期待に応えられない可能性がある。
     

●4.バイデン次期大統領は「弱い大統領」というレッテルを剥がせるか?  

 1)政策のブレが大きかった「弱い」カーター元大統領と並び称されるバイデン氏のブレのない政策と実行力?

 2)年齢から2期目のない大統領ということで、権力集中ができるか?

 3)大統領就任後もトランプ氏からの圧迫を跳ね返せるか?

●5.米12月財政収支は▲1,436億ドル(2019年12月は▲132億ドル)(フィスコ)

●6.米FRB(連邦準備制度理事会)ブレイナード理事は1/13、FRBの債券購入は「かなりの間」は現行維持、と示した(ロイター)

●7.FRBが1/13公表した米地区連銀経済報告では、昨年終盤の状況は「経済は緩慢な拡大、新型コロナの感染拡大で雇用の伸びは減速」(ブルームバーグ)

●8.コロナ制限緩和なら2021年は2020年より状況悪化も(ロイター)

 1)世界保健機構の米州事務局(PAHO)は1/13、ワクチン接種が始まっているものの感染はカナダからアルゼンチンまで全域で急拡大しており、とりわけカリブ海諸島の状況は深刻と述べた。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数

 1)1/12、上海総合指数+76高、3,608
  ・習近平国家主席が1/11の会議で、内需や個人消費拡大を促す発言があり、消費刺激策などの政策期待が高まった。(日経新聞)

 2)1/13、上海総合指数▲9安、3,598
  ・前日の大幅高による短期的な過熱を警戒した売りが優勢となった。(日経新聞)

●2.中国はアフリカ、アジア、中南米などの脆弱な各国に貸し付けた債権回収が難題

 1)借入れた中低所得国の多くが、返済困難となっている。

 2)中国は貸し付けることで受注した建設工事等に関連し、物資・労働力の輸出で潤った。その債権に対して、各国から債券の棒引き・減額・返済猶予を求められている。

 3)中国はスリランカで建設した港湾施設を接収するなど回収を図っているが、債権放棄などの負担が今後、大きくのしかかってくる。

●3.中国石油は2020年で2億トンの石油・ガスを生産(東方新報)

 1)中国石油は、中国国内の石油・ガスの60%を生産。生産拠点は、大慶油田、長慶油田、西南油田。

 2)中国のエネルギー依存度は、石炭57.7%、石油18.9%、ガス8.1%。発電ベースでは、石炭火力発電62.1%、水力17.7%、風力5.5%、原子力4.7%。

 3)二酸化炭素排出国では、中国が世界の28%を占め世界最大。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)1/12、日経平均+25円高、28,164円
  ・米国の政治的混乱を嫌気したが、割安株や中長期的成長が見込める銘柄への物色が強く、上昇に転じた。
  ・米株先物が堅調に推移したことも相場を支えた。(日経新聞)

 2)1/13、日経平均+292円高、28,456円
  ・緊急非常事態宣言の拡大で売られたが、大規模な米経済対策と原油価格の上昇が牽引して大幅上昇となった。

●2.企業業績

 1)旭化学  2021年8月期営業利益を上方修正。電動工具の受注増加。(フィスコ)
 2)セブン&アイ 2021年2月期営業利益は前期比▲19%減の見通し。(日経新聞)
 3)安川電機 2021年2月期純利益は前期比+16%増の180億円見通し。(日経新聞)
 4)技研製  2020年9~11月期純利益は前年同期比3.6倍の8.2億円。 (日経新聞)

●3.企業動向

 1)ソニー   開発中の電気自動車(EV)の公道での走行実験を公開。(NHK)ソニーのEV開発はセンサー技術の活用を広げることがねらい。AI・人工知能を使って操作しなくても障害物を避けながら自律飛行できるドローンも発表した。
 2)日本製鉄  電気自動車向け鋼材の生産設備を増強へ。(NHK)
 3)ソフトバンクG ウーバー株の一部3,800万株を約2,100億円で売却(ロイター)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・3182 オイシックス  巣ごもり需要に適応した青果物のネット販売。業績好調。
 ・3504 ネットワン   セキュリティ、通信に強い。
 ・6965 浜松ホトニクス 光半導体開発。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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