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相場展望2月17日号 米国株: 「相互関税」が即時発動されず安心感、今後の発言に注目 日本株: 日本の自動車に関税が課されると、影響は大きい
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)2/13、NYダウ+342ドル高、44,711ドル
2)2/14、NYダウ▲165ドル安、44,546ドル
【前回は】相場展望2月13日号 米国株: トランプ大統領は支離滅裂? インフレ加速でも経済成長? 日本株: 「高評価の石破・トランプ会談」は本当か? ぬか喜びしたが
●2.米国株:「相互関税」が即時発動されず安心感、今後の発言に注目
1)「相互関税」が即時発動されず安心感、今後の発言に注目
・トランプ大統領は「相互関税」の覚書に署名したが、国ごとに新たな課税を提案するように、通商代表部(USTR)と商務省に指示した。
・その作業が完了するには数週間から数ヵ月を要する可能性がある。そのため、即時の関税発動が見送られたとの受け止めから、関税に関する過度な懸念がひとまず後退した。
・関税をすぐに課さないため、米国株式市場でインフレや貿易摩擦に対する市場の過度な懸念が薄れた。
・そのため、2/13は主力の大型ハイテク株を中心に幅広い業種・銘柄が買われた。
2)米国の長期金利が低下し、株式の相対的な割高感が薄れた
・長期金利の推移 2/12 2/13 2/14
10年債利回り 4.621% 4.529 4.477
・ナスダック総合指数は、2/14に最高値を更新。
・NYダウは2/14、予想を下回る小売売上高で反落。
3)NYダウは、12/4の45,014ドルの最高値を抜けず、足踏み状態が続く
・NYダウの推移
12/04 45,014ドル
01/10 41,938
01/30 44,882
02/13 44,711
02/14 44,546
・NYダウは、2023年11/27の32,417ドルの底値を起点に上昇し、12/4の45,014ドルと史上最高値を付けた。
・しかし、2023年11/27からの上昇支持線も1/30の44,882ドルを高値にしたのを最後に下に抜けてしまった。チャートからは、1/30以降、反発しているが戻り高値を切り下げており、下落を探る展開に入った可能性がある。
・1年3カ月にわたる長期上昇が終わるのか、注目したい。
4)今週2/17は、祝日「大統領の日」(プレジデント・デー)のため休場
●3.トランプ氏は2/14、自動車関税は「4/2ごろ」と表明(時事通信)
1)工場の米国回帰を狙って、鉄鋼・アルミに続く。
2)発動されれば、米国に自動車を多く輸出する日本のメーカーが打撃を受ける可能性。
3)米国への自動車輸出が多い欧州連合(EU)などからの反発は必至。各国の自動車メーカーが工場を置くメキシコやカナダも含まれれば、米国で販売される自動車価格の上昇を招く恐れもある。
4)米国に輸入される鉄鋼・アルミニウムに25%の関税を3/12から課すと正式決定をした。これまでメキシコやカナダ、日本、EUなどに適用していた例外措置を廃止した。「製造業を米国に取り戻す」ことを目的に、医薬品や半導体、原油、天然ガスなど、さらなる分野別の関税に意欲を見せている。
●4.米国・オープンAI、マスク氏の買収提案を取締役会が全会一致で拒否(時事通信)
1)マスク氏は、約974億ドル(約14.8兆円)で買収提案をしていた。
●5.米国1月小売売上高、前月と比べ▲0.9%減少、5ヵ月ぶりに前月下回る(NHK)
1)ロサンゼルス近郊で発生した山火事などの影響で、短期的に消費が落ち込んだことが要因とみられる。
2)市場予想は前月比▲0.2%程度の減少を見込んでいた。大きく下回った。
●6.米国インフレ加速で関税引き下げにつながる可能性も=BofAが指摘(ブルームバーグ)
●7.米国・卸売物価指数(PPI)は前年比+3.5%上昇、予想上回る(ロイター)
1)伸びは前月の+3.3%から加速し、予想の+3.2%も上回った。米国連邦準備理事会(FRB)は下半期まで利下げを見送るとの見方が強まる可能性がある。
2)前月比では+0.4%上昇。予想は+0.3%上昇だった。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)2/13、上海総合▲13安、3,332
2)2/14、上海総合+14高、3,346
●2.外国企業の中国への直接投資「純投資」45億ドル、▲9割減で33年ぶり低水準(読売新聞)
1)中国国家外貨管理局が公表した国際収支によると、2024年の外国企業の対中国への直接投資の純額が45億ドル(約6,800億円)となった。前年から▲9割減少し、1991年以来、33年ぶりの低水準にとどまった。
2)外国企業が新たに中国への工場建設などの投資をした金額から、事業の撤退や縮小で資金を引き揚げた金額を差し引いて計算した。減少は3年連続で、ピークの2011年の3,440億ドルからは▲99%減となった。
3)外国企業の投資減少が、(1)中国の景気減速や(2)米国・中国対立(3)反スパイ法への懸念などが影響している。米国トランプ政権の対中国政策、関税強化で、今後も中国製造業を中心に投資がさらに落ち込む可能性がある。
●3.中国新規銀行融資、1月は過去最高の5兆1,300億元、予想を上回る(ロイター)
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)2/13、日経平均+497円高、39,461円
2)2/14、日経平均▲312円安、39,149円
●2.日本株 : 日本の自動車に関税が課されると、影響は大きい
1)2/13の大幅高の要因は、(1)円安(2)海外短期筋の買い(3)SQ前の買い
・米国長期金利高を受け円安で、輸出関連株が買われた。
・金利高を背景に利ザヤ拡大期待で銀行株が買われた。
・海外短期筋による株価先物の買い。株価先物の特別清算(SQ)が2/14にあることから、思惑的な買いが入った。
・急激な上昇をみた、売り方の買い戻し。
・米国・ロシア両大統領の会談合意で、地政学リスクが後退し、買い安心感が出た。
2)2/14、日経平均は(1)円高進行(2)自動車関税の恐れ(3)SQ前の上昇の反動で下落
3)日本の自動車に関税が課されると、影響は大きい
・現在、米国は日本からの輸入乗用車に2.5%の関税を課している。トラックは25%の関税となっている。
・日本の米国への輸出総額は2024年度で21.3兆円。そのうち、自動車は6兆円、自動車部品は1.2兆円あり、総輸出額の33.8%を占める。
・大幅な自動車関税が発動されると、日本の自動車産業は大きな打撃を受けることになる。
・米国での値上げや、米国への工場建設や移転といった対応策を迫られることになる。
4)今後、日経平均は軟化に推移すると予想
・米国・日本は決算発表で好材料に反応してきたが、決算発表シーズンの終了とともに、好材料が乏しくなる。
・3月下旬以降の3月期決算予測発表を材料とした相場に期待したい。
●3.電通、2024年12月期純損失1,921億円の赤字、海外事業で減損(ロイター)
1)2025年12月期の予想は1,000億円の黒字、市場予想は669億円の黒字。
●4.アサヒ、2024年12月期営業利益+9.8%増の2,690億円(ロイター)
1)2025年12月期計画、営業利益▲2.6%減の2,620億円。
●5.アシックス、2025年12月期営業利益+19.9%増の1,200億円、過去最高(ロイター)
1)発行済み株式の0.98%の700万株・200億円上限で自社株買い。
●6.楽天、前年通期の営業利益529億円黒字、5年ぶりに黒字転換(NHK)
1)ネット通販や金融事業が好調、携帯電話事業の契約回線数増加が要因。
●7.キオクシア、4~12月期最終損益2,520億円黒字(前年同期▲2,539億円赤字)(日経新聞)
1)人工知能(AI)向けデータセンターに使うメモリーの需要増。
●8.ソニー、2025年3月期最終利益見通し過去最高の1兆800億円、上方修正(テレ朝)
1)発行済み株式の0.5%・500億円上限に自社株式取得を決議(ロイター)
●9.日産自、3月通期▲800億円赤字見込み、4期ぶりに最終赤字へ(東京商工リサーチ)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・2507 アサヒ 夏需要見込んだ買い
・4502 武田薬品 業績好調
・9508 九州電力 業績好調
著者プロフィール
中島義之(なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou
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