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相場展望1月2日号 米国株: 2024年はハイテク関連株が牽引し、米国株は株高を満喫 2025年はトランプ政策で、(1) 金利上昇 (2) インフレ再加速リスク 日本株: 2024年は好成績も、2025年は慎重な備えが必要かも
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)12/30、NYダウ▲418ドル安、42,573ドル
2)12/31、NYダウ▲29ドル安、42,544ドル
【前回は】相場展望12月30日号 米国株: 米国長期金利+4.6%台に上昇で株式に割高感、ハイテク売り 日本株: 年末のお化粧のやりすぎ、12/30に日経平均は下落予想
●2.米国株:2024年はハイテク関連株が牽引し、米国株は歴史的な強気相場だった
2025年はトランプ政策で、(1)金利上昇(2)インフレ再加速のリスク
1)2024年はハイテク関連株が牽引し、米国株は高パフォーマンスを実現
・米国主要株価指数の推移 2023年末 2024年末 上昇幅 上昇率
NYダウ 37,689ドル 42,544 +4,855ドル +12.88%高
ナスダック総合 15,011 19,310 +4,299 +28.63
S&P500 4,769 5,881 +1,112 +23.31
ラッセル2000 2,024 2,231 +207 +10.22
半導体株(SOX) 4,135 4,979 +794 +18.97
・株価大幅上昇の要因
・人工知能(AI)ブームが起きた。
・米国連邦準備理事会(FRB)の利下げ。
・堅調な米国経済を実現できた。
・ただ、NYダウ構成銘柄でみると、良し悪しが目立った
・ボーイング 年初来の下落率▲32%安
ナイキ ▲30%安
エヌビディア +2.7倍高
ウォルマート +72%高
2)12/30の米国株式相場は、金利上昇懸念で、全面安の展開
・NYダウは▲418ドル安と大幅安
・下落要因
・インフレ再燃の警戒見通しが強まった。
・米国長期金利が4.6%近辺まで上昇、株式の相対的な割高感が強まった。
3)米経済の減速懸念からドル安・円高へ、
・円相場の推移
・円相場は12/30 に158円⇒12/31に157.23円に円高。
・円高・ドル安への転換要因
・トランプ次期政権の政策が、インフレの再燃と加速を招く。
・減税などバラマキ政策で財政悪化と物価上昇。
・関税大幅上昇で輸入物価上昇。
・財政赤字の膨張で米国政府は資金調達することになるが、金利上昇。
・結果として、米国経済の後退懸念が強まる。
・そして、為替相場はドル安・円高へ転換の可能性が増す。
4)2025年はトランプ政策で、金利高・インフレ再燃⇒米国株は逆風へ
・米国市場でNYダウは、12/27~31の3日間で▲781ドル安となった。その下落の要因は、トランプ次期政権の負の局面を織り込み始めた可能性がある。
●3.米国株式市場、1/9は休場、カーター元大統領の服喪(ブルームバーグ)
1)大統領経験者の死去後に金融市場での取引を一時停止する米国の伝統。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)12/30、上海総合+7高、3,407
2)12/31、上海総合▲55安、3,351
●2.習近平・主席、成長促進へ2025年度積極的に政策実行(ロイター)
●3.中国製造業PMI、12月は50.1に低下、非製造業は改善(ロイター)
1)中国国家統計局が12/31発表した12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.1で好不況の分かれ目である50を3ヵ月連続で上回ったものの、11月の50.3から低下しエコノミスト予想の50.3を下回った。
2)一方、サービス業と建設業は回復し、当局による刺激策の効果が一部セクターに徐々に浸透しつつあることを示唆した。
●4.中国主席の新年演説、台湾「統一」は阻止不可能と台湾独立派に警告(ロイター)
1)中国は、台湾を自国の領土とみなしている。一方、台湾は民主的に統治され、台湾の将来を決めることができるのは台湾の人民で、中国は台湾の選択を尊重すべきだと主張している。
●5.中国公安相、麻薬対策で国際協力強化を表明(新華社)
1)米政府は中国に対し、合成麻薬フェンタルニによる死亡者を減らすため、中国に圧力を強めている。
2)中国はこれに対し、中国の麻薬取締法は世界でも最も厳格であるとして上で、米国は国内での麻薬需要を制御する必要があると主張している。
3)中国公安相は、国家麻薬取締委員会主任も務める。
●6.中国自動車メーカー「BYD」が急成長、昨年の年間販売は+41%増の427万台(テレ朝)
1)プラグインハイブリッド(PHV)の販売台数が247万台。電気自動車(EV)は176万台。
2)12月販売台数は46.6万台のうち、中国以外の販売は5.7万台。
●7.日本での行動に中国のスパイ罪適用、中国出張の日本女性、6年服役(共同通信)
1)2012年から2013年に在日中国大使館の関係者と東京都内で複数回にわたり面会。日本政府による2012年の尖閣諸島の国有化を受けた日中対立について意見を聞き取り、日本政府関係者2人に内容を伝えた。
2)2015年に日本女性が上海に出張渡航したときに、中国当局が拘束。
3)上海市の高級人民法院(高裁)は2019年2月の判決で、スパイ罪が成立すると認定した。国家機密の情報は含まれないとの判断されたものの懲役6年の実刑判決を受け、服役した。
4)日本人の日本での行動に対するスパイ罪適用が判明したのは初めて。日本政府は事態を把握したものの公表していなかった。
5)中国当局が証拠を押さえるため、日本で情報収集活動を行った可能性も懸念される。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)12/30、日経平均▲386円安、39,894円
2)12/31、休場
●2.日本株:2024年は好成績も、2025年は慎重な備えが必要かも
1)2024年の日経平均の上昇率は+19.21%高とNYダウよりも好成績
・日経平均とNYダウの年間上昇
2023年末 ⇒ 2024年末 上昇幅 上昇率
日経平均 33,464円 39,894円 +6,430円高 +19.21%増
NYダウ 37,689ドル 42,544 +4,855 +12.88
・日経平均は、NYダウ比で割高感を意識するほど株価は上昇した。
・ただし、日経平均の史上最高値は7/11の42,225円である。史上最高値比では、2024年末は▲2,331円安である。
2)騰落レシオ(6日)は高いままで年越し
・騰落レシオの推移 12/25 12/26 12/27 12/30
騰落レシオ(6日) 98 132 170 176
・12/27の日経平均は▲386 円安にもかかわらず、12/30が176と高い位置にある。これは、正月明けも売られる可能性を示唆している。
3)12/30の下落は「現物株の売り」が要因で、海外投機家による「売りはお休み」
・「空売り」比率の推移 12/25 12/26 12/27 12/30
空売り比率 40.3 40.4 38.0 39.8
日経平均変動幅 +93円高 +437 +713 ▲386円安
・海外投機家による「株価指数先物の売り」主導の売り圧力がない状態で年末を過ごしたことになる。
4)2024年末時点で、日経平均はNYダウ比で「割高感」を意識する水準
5)日経平均の正月明けは警戒したい
・理由
・海外投機筋は、先物を主導で38,000円台から買い上がってきており、相当な含み益を有している。
・また、最近の日経平均は38,000円~40,000円のボックス圏の値動きだった。つまり、投機筋の外国人は38,000円台で買って、40,000円近辺で売るというパターンを繰り返してきた。
・米国株はトランプ次期政権の政策で、「金利上昇」を読んでいる。その株式相場への織り込みが始まった初期段階にあるとみている。日経平均はNYダウに対して「割高感」を意識するレベルまで株高となっている。米国株下落の波及を受ける可能性に着目したい。
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・3038 神戸物産 業績好調。
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