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相場展望11月18日号 米国株: トランプ・ラリーは11/1~11で終了、暗雲発生に備えを 日本株: そもそも日経平均では、トランプ・ラリーは起きなかった 米国株の急落の余波に注意
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)11/14、NYダウ▲207ドル安、43,750ドル
2)11/15、NYダウ▲305ドル安、43,444ドル
【前回は】相場展望11月14日号 日本株: 「トランプ・トレード後に」備えよう、米国は金利高・インフレ再燃へ
●2.米国株:トランプ・ラリーは11/1~11で終了 トランプ勝利の酔いが冷め⇒インフレ再燃・金利上昇に備える
1)トランプ・ラリー2 回目は11/1~11で終了
・NYダウでの、トランプ・ラリーの比較
1回目 2016年11/4~2017年1/6 +8,811ドル上昇、上昇率+49.47%高
2回目 2024年11/1~11/11 +2,530ドル上昇、上昇率+ 6.05%高
(注)トランプ・ラリー経過 2016年11/4 2017年1/6
17,808ドル 26,619 +8,811ドル高
2024年10/31 11/11
41,763ドル 44,293 +2,530ドル高
・トランプラリー1回目の期間は「2カ月間」上昇したが、2回目はわずか「11日間(営業日では6日間)」で終了した。
・2回目は、事前に「関税引上げ(中国60%、他国10~20%)方針」が明らかとなっていたため、(1)インフレ再燃(2)金利高がブレーキとなったと思われる。加えて、パウエルFRB議長は講演で「米国経済は利下げを急ぐ必要はない」と述べ、追加下げに慎重姿勢だったことも反映した模様。
2)米国インフレ加速の芽が膨らむ
・米国労働省が11/14発表した10月卸売物価指数(PPI)は前年比+2.4%上昇した。伸びは前月の+1.9%から加速し、市場予想の+2.3%をも上回った。
・10月の米国消費者物価指数(CPI)も前年比+2.6%上昇と再加速している。
・今夏まで、金利引上げることでインフレ抑制を実施してきたが、CPIが目標の+2%に手が届くまで鈍化し、一定の成果を得た。そして、米国景気に気懸りな点が見受けられるとして、今年8月に政策金利の引下げへと転換した。しかし、10月の経済指数はインフレが再燃している可能性を示唆した。インフレ圧力がFRBの想定以上に強い状況を示したということになる。FRBは12月も政策金利を引下げると予想されるが、FRBの判断に注目したい。
3)パウエルFRB議長の「利下げへの慎重姿勢」が株式相場にとって重荷へ
・11/15の米国主要株価指数は大幅に下落。
NYダウ ▲0.70%下落
ナスダック総合 ▲2.24%下落
S&P500 ▲1.32%下落
半導体株(SOX) ▲3.42%下落
・パウエルFRB議長は講演で「経済は利下げを急ぐ必要があるというシグナルは起こっていない」と述べたことで、米国株価の「割高感」が膨らみ株売りを誘引した。
4)米国株式市場に暗雲
・米国NYダウは11/12~15で▲849ドル安と下落に転じた。
NYダウの推移 11/11 ⇒ 11/15
44,293ドル 43,444 ▲849ドル安・▲1.9%安
11/1~11までのトランプ・ラリーの上昇幅+2,530ドルに対して、▲849ドル安は3分の1相当の▲33.5%に当たる。
・暗雲の要因は、
・パウエルFRB議長のタカ派的発言への転換
・トランプ人事での、(1)対中国強硬派と(2)規制緩和(環境破壊)派の登用にある。
・インフレ再加速への懸念が増す。
・対中国強硬派の重要閣僚登用で、対中国関税が60%に引上げが濃厚となる。関税引上げに伴い、輸入物価が上昇してインフレ要因となる。
・政策金利の(1)引下げ停止 (2)引上げ ならば、株価にとって相対的に「割高感が増す」ことになる。この要因もあって、11/14~15の米国株式相場の下落を招いたとみられる。
5)米国株式市場は、トランプ勝利の酔いが冷め⇒インフレ再燃・金利上昇に備える
・米国フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は11/7を天井に、下落へと転換した。
SOX指数の推移 11/7 ⇒ 11/15
5,333 4,833 ▲500安・▲9.3%安
半導体株指数の下落率は、NYダウを大きく下回った。
SOX指数は、11/7を天井にして三尊天井を形成し、下値も切り下げているなど今後の展開も続落となる様相をみせている。
・米国の株式相場で長らく主役であったのが、テスラとエヌビディアであった。そのテスラは既に主役を、人工知能(AI)関連のエヌビディアに引き渡した。そして、エヌビディアも時価総額首位となり、牽引役を降りようとしているが次の牽引役が現れない状況にある。
・そうした米国株相場に、
・トランプ勝利の方針である(1)高関税(2)規制緩和(3)財政拡大を起因とする
・(1)インフレ再燃と(2)高金利への逆走が襲い掛かろうとしている。
米国主要株価指数の変調は、トランプ勝利の裏にある「負」を嗅ぎ取っているかもしれない。この局面は、慎重に対処することが求められていると思われる。
●3.米国10月の生産者物価指数は前月比+0.2%上昇、予想と一致も、9月+0.1%増から加速(ブルームバーグ)
1)変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比+0.3%上昇、前年同月比では+3.1%上昇した。
2)基調的には、インフレが根強いことを示した。今後の米国利下げペースが緩やかになる可能性がある。
●4.米国・新規失業保険申請件数、前週比▲0.4万件減の21.7万件、予想22万件(ブルームバーグ)
●5.米国10月小売売上高は前月比+0.4%増、消費の堅調さ維持(NHK)
1)市場の予想+0.3%増を上回った。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)11/14、上海総合▲59安、3,379
2)11/15、上海総合▲49安、3,330
●2.アリババ、7~9月の決算は国内事業の不振を、国際事業がカバー(ブルームバーグ)
1)アリババの全体の売上高は、前年同期比+5%増。
・主力の国内電子商取引事業の増収率は+1%にとどまり、予想を下回った。しかし、国際事業部門は売上高を+35%伸ばした。
・同社は中国本土のオンライン商取引をほぼ独占してきたが、政府主導の独占禁止法に基づく取締りで、成長を取り戻すのに苦戦している。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)11/14、日経平均▲185円安、38,535円
2)11/15、日経平均+107円高、38,642円
●2.日本株:そもそも日経平均では、トランプ・ラリーは起きなかった 米国株の急落の余波に注意
1)日経平均は急落に警戒
・最近の日経平均の特徴
・朝高、その後は上げ幅を縮小&マイナスに売り込まれる展開が多い。
・総じて、日経平均は「弱さ」が目立つ。
・円高で11/18は輸出関連株が売られる展開を予想。
11/15日本・156.13 円 ⇒ 11/15米国・154.44円 :1円69銭の円高
・11/15の米国主要株価指数が下落が、11/18の日本株に波及する可能性あり。
NYダウ ▲0.70%下落
ナスダック総合 ▲2.24%下落
S&P500 ▲1.32%下落
半導体株(SOX) ▲3.42%下落
2)日本株のトランプ・ラリー好感相場も、短期間で終了
・日経平均の推移 11/1底値 ⇒ 11/11終値
38,053円 39,533円 +1,480円高・+3.89%高
・トランプ勝利が確信され始めた11/5からの上げ相場は、トランプ勝利確定後の11/11で終了した。その間の上げ幅は+1,480円であり、目立ったのは11/6の+1,005円のみで、後は小幅な上昇であった。
・しかも、上昇したのは4営業日に過ぎなかった。
3)そもそも日経平均では、トランプ・ラリーは起きなかった
・日経平均の推移 7/11 10/15 11/1 11/11 11/15
42,224円 39,910 38,053 39,533 38,642
・10/15⇒11/11の日経平均は▲377円安であり、7/11⇒11/11の日経平均をみると▲2,691円も下回っている。
・米国株では史上最高値を更新したが、日本株は低位で推移していたと言える。短期筋の海外投機家が株式先物を使って上昇を狙ったが、不発に終わったようにみえる。
・11/11⇒11/15の日経平均は▲891円安と下落に転じた。
・このことから、日本株式相場では「トランプ・ラリーは起きなかった」とも言える。
4)むしろ、トランプ次期大統領による方針が引き起こす(1)高関税(2)金利上昇に備えを
5)本日11/18の日本株は、トランプ氏の「負」に焦点を合わせた波をかぶり、急落するという余波を受ける可能性があり注意
●3.日本郵政、中間決算最終利益1,394億円(前年同期比16%増)、郵便物流は赤字拡大(NHK)
●4.メガ銀行3行の決算好調、見通しを上方修正、みずほは16年ぶり自己株取得(ロイター)
1)三菱UFJ、通期純利益見通しを従来予想1兆5,000億円⇒1兆7,500億円に引上げ。住友三井FG、1兆1,600億円(前期比20.5%増)に上方修正。みずほFG、8,200億円(前期比20.7%増)に上方修正。
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・6523 PHP 業績回復期待。
・6902 デンソー 業績好調。
・7898 ウッドワン 黒字転換。
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