近鉄百貨店、ホームセンターのカインズとフランチャイズ契約

2023年12月26日 15:27

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 ホームセンター大手のカインズは25日、近鉄百貨店とフランチャイズ契約を締結したと発表した。カインズは店舗数が少ない近畿地方への出店を加速させることができる一方、近鉄百貨店は苦境が続く百貨店業界とは別の収益源を確保できるメリットがあり、双方の利害が一致した結果とみられる。

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 カインズは、いせや(現ベイシア)のホームセンター部門として1978年、栃木県栃木市に1号店の「いせやホームセンター栃木店」を出したのが前身。1989年にいせやから分社独立して設立された。

 現在は埼玉県本庄市に本社を置き、全国249店舗を開設している。しかし、出店した店舗は関東地方が中心で、近畿6府県には、大阪府4店、兵庫県6店、京都府、滋賀県各2店、和歌山県、奈良県各1店の計16店しか出店できていない。

 近年、東急不動産ホールディングスから東急ハンズ(現ハンズ)を買収するなど、都市部への出店を加速させる方針を打ち出していることもあり、近畿地方で知名度が高く、長い歴史を持つ近鉄百貨店と連携することで近畿の店舗網を拡大したい意向。

 近鉄百貨店はコロナ禍の直撃で、2021年2月期、2022年2月期と2期連続で純損失を出した。2023年2月期は行動制限の緩和などから黒字転換したものの、若者の百貨店離れやインターネット通販の拡大に苦しめられている。

 現在は中国以外からの訪日外国人観光客が回復し、大阪市阿倍野区のあべのハルカス本店など大阪市中心部で売上増が期待される一方、訪日客の来店が少ない地方の店舗は人口減少の影響を受けて苦戦を続けており、百貨店事業とは別に収益を確保する必要に迫られたとみられる。(記事:高田泰・記事一覧を見る

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