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炭鉱業終焉期:三井松島HDの再生への足元を覗いた
三井松島ホールディングス(東証プライム市場。以下、三井松島HD)。1913年の三井炭鉱に端を発した三井松島HDは、石炭事業者として既に第4コーナーを回っている。豪州のリデル炭鉱の鉱区延長は否決され、パートナーのグレンコアが再審査手続きをせず『終掘=炭鉱事業終焉』が99.999%間違いない状況にある。
【こちらも】脱石炭にM&A戦略で臨む、三井松島HDの現状は「?」
私は2019年4月10日の企業・産業欄に『三井松島ホールディングス「脱石炭」の道筋』を投稿した。時代の流れ・要請に「脱石炭生産販売関連事業」の対応として祖業とは全く無縁の、ニッチ分野に焦点を合わせM&Aの駆使による生き残りの施策を執っているという内容だ。
18年11月に発表した至2024年3月期5カ年計画では、「今後は石炭関連の新たな権益投資を取りやめる。新規事業創出に向けて300億円規模のM&Aを推進する」とした上で具体的に「営業利益55億円、ROE8%以上、配当性向30%以上」を掲げた。
さて・・・今24年3月期の三井松島HDの予想だが「配当性向こそ9.5%」も「営業利益:160億円/ROE21.42%」。一口に言えば「三井松島は、創業来未曾有の大転換に向けて歩みを進めてきた」と、評価し得ると捉える。経過を改めて振り返ってみた。
2012年度の自社での、太陽光発電事業参入が入り口だった。そして13年度(創業100周年):日本ストローの買収・子会社化。15年度:花菱縫製(オーダースーツ)、16年度:CST(フォトマスクメーカー)、19年度:明光商会(シュレッダーメーカー)、20年度:ケイエムテイ(ペットフーズメーカー)&システックキョーワ(住宅関連資材)、22年度:日本カタン(架線金具メーカー)&MOS(各種事務機器用記録紙)etc。そして今年度内には感熱レジロール(感熱紙メーカー)のM&A・子会社化が予定されている。つまりM&A・子会社化の動きは今後とも続くという方向だ。
いま三井松島HDのHPを開くとまず目に飛び込んでくるのは、「三井松島は事業を継承するプロフェッショナル」なる文言。世辞を言うつもりはないが「今年度、感熱レジロールを約24億円を投じ丸紅の保有株の50.1%を取得」といった具合に、それなりに資質を有した企業揃い。
ケイエムテイの名前は、我が愛する老猫が通う動物病院で知った。斯界では著名らしい米国のアーテミス、リゾットゴールドの日本での正規代理店とか。
ことの是非は別にし・・・かつて日本のエネルギー事情を担ってきた老舗企業が新たな立ち位置を求め闘っている。今後にエールを送る意味で年初来安値水準の時価(2600円前半)を2.4%余の予想税引き後配当利回りを享受するのも恩返しと考えるが・・・最も手元に多少なりの余資があればだが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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