サムスン、半導体減産でも株価上昇!?

2023年4月18日 08:03

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●サムスンの営業利益が96%減

 韓国サムスン電子が7日に発表した2023年第1四半期決算は、営業利益が前年同期比96%減と落ち込んだ。また同社は、半導体の生産を縮小することも発表した。

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 大幅減益にもかかわらず、この発表を受けてサムスン電子の株価は約4.5%上昇している。半導体の先行きの厳しさ、世界経済の需要の落ち込みを象徴するかのようなニュースにも関わらず、なぜ株価が上昇するのか?市場にはどんな思惑があるのだろうか?

●半導体の現在

 2020年からのコロナ禍の巣ごもり需要により、一気に需要が高まった半導体だが、もうそれは過去のものになりつつある。

 一方で2022年から続く、ロシアのウクライナ侵攻による材料不足はまだ続いている。

 サムスンに至っては、2022年10月から営業利益の急減が顕著で、台湾のTSMC同様に在庫調整をせざるを得ない。

 在庫調整はコロナ禍で積み上がった在庫の調整と見られており、2023年後半から2024年初めまで続くという見方もある。

 ただ半導体の需要自体は、5GやIoT化など潜在的な需要は今後も続くと見られている。

●なぜサムスン株が上昇?課題も?

 不況でも投資を続ける“攻めの経営”として知られるサムスンが減産となると、事態が深刻とも受け止められる。

 1月には、減益でも回復期に向けて、設備投資の手は緩めないと強気の姿勢を見せていた。

 一方で、半導体大手のサムスンが減産することにより、原油の減産と同じで価格の下落を防げるという期待感がある。

 ただ韓国は、サムスンに限らず、貿易を中国に依存しており、中国国内に生産拠点がある。3月の半導体輸出は、中国向けも全体の輸出も、リーマンショック直後並となる3割以上も落ち込んだ。

 米国は2022年に半導体の対中輸出の規制を強化しており、日本も足並みを揃えている。中国市場の向き合い方が今後課題になる。

 今回の株価上昇は業績も底を打ったという期待感があるだろう。だが世界景気の悪化やSVBの金融危機の影響など、マイナス面をどこまで織り込んでいるかは、わからない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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