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セルムを「凄い企業が現れた」と実感する、その理由
凄い企業が現れたものだ。セルム(東証スタンダード)。売上高1兆円を超える日本の大企業グループの過半と取引関係があるというのである。
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業務は、次期経営幹部や次期リーダーとして活躍する人材の育成(『経営塾』の運営)。2021年4月の上場だが、前22年3月期は「40.6%増収、121.5%営業増益、152.0%最終増益、早々に18円配」。そして今3月期も「8.0%の増収(69億9300万円)、14.9%の営業増益(8億3800万円)、31.4%の最終増益(4億9000万円)、5円増配23円配」計画。
好調な収益動向もさることながら、注目したいのはそのビジネスモデル。顧客企業へのサービスはパッケージ型でなく、フルカスタマイズ型。
そしてそれを可能にしているのが、プロフェッショナルタレント(パートナー)の存在。その数、1400名超。例えばノバルティスファーマ社長等を歴任した三谷宏幸氏などの、大手企業の元経営幹部やプロ経営者が名を連ねる。デンソーや味の素取締役を経た、一橋大学大学院経営管理研究科特任教授の名和高司氏など大学教授も多々。文字通り多士済々。
セルムは適当と認識したパートナーを顧客企業に複数照会、企業側が「この人こそ」と判断したパートナーをセレクトする(昨年の実働パートナーは約500人)。プロジェクトを通じ協働を共にしたパートナーに対価が支払われる。
現在の前身となるセルムが設立されたのは1995年。よくもまあ、こんな枠組みが構築されたものだ。大企業のセルムに対する認識は、どんな経過で高まっていったのか。
ゼネラルマネージャーの春名剛氏は「とあるリストラを迫られた企業との取り組みだったと認識している。複雑な資産査定が絡み、銀行団からのプレッシャーがありながらも、元マッキンゼーで活躍していた専門家と協働しながら顧客と三位一体で進めた」とし、こう続けた。
「こうした協働事例でタレントのプロデュース力を強め、顧客への高いサービスが徐々に口コミで広まっていった。大企業ほどこの種の最先端の組織課題解決に敏感で、かつ横のつながりが強い」。
セルムでは至24年3月期の中計を進行中だが、「売上:86億1500万円(今期計画比23%増収)、営業利益:13億6200万円(同62.5%増益)」を掲げている。
春名氏は数字の達成に自信を示した上で、今後についてこんな方針を明らかにした。「事業領域の拡大を図る。また顧客層を、売上高で5000億円未満の規模の企業にまで広げる」。
その上で具体策としてM&Aへの意欲を示した。「大手企業の非人事領域にも事業の対象を広げる。準大手企業や強いてはスタートアップ企業にも範疇を拡大したい。そうした企業の強いパートナーとなっている企業に照準を合わせてのM&Aだ」。
本稿作成中の株価は900円トビ台。5月27日には7億円を上限とした自社株買いを発表している。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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