相場展望3月4日号 米長期金利上昇⇒債券損失⇒株式動揺の構図に注目

2021年3月4日 08:15

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)3/1、NYダウ+603ドル高、31,535ドル
  ・長期金利上昇が先週の1.61%から1.4%台に一服し、先週値下がりした銘柄を中心に買い戻す動きとなり大幅高。(日経新聞)

【前回は】相場展望3月1日号 バイデン政権政策は長期金利2%超(悪い金利上昇)を招き、米株価▲10~▲20%下落か?

 2)3/2、NYダウ▲143ドル安、31,391ドル
  ・前日に上昇した主要ハイテク株が一転して売られ、投資家心理を冷やし、幅広く利益確定売りが広がった。

 3)3/3、NYダウ▲121ドル安、31,270ドル
  ・米2月ADP雇用統計や2月ISM非製造業景況指数が予想を下回り、長期金利が上昇したためハイテク株を中心に利益確定売りが優勢となった。(フィスコ)
  ・ナスダック総合指数が米長期金利上昇で総崩れとなり、2カ月ぶり安値(日経新聞)

●1.米10年国債利回りは3/3再び上昇傾向に転じ、債券価格は軟調で債券損失が膨らむおそれ

 1)長期金利(10年国債)の推移
           3/1    3/2    3/3
  長期金利    1.417%  1.391   1.467  
  ナスダック総合 +396高  ▲230安  ▲361安

 2)米国債相場は、年後半の景気回復期待が根強く、金利上昇で債券価格は軟調。

 3)債券価格の下落に伴って、債券損失が膨らむと、損失処理のため抱き合わせで株式が売られる傾向があり注意したい。特に、ハイテク銘柄の株価は高水準にあり、金利上昇に伴って割高感が強まりやすく、売られる可能性が高い。3/3の下落率=NYダウ▲0.39%安、ナスダック総合▲2.7%安、SP500▲1.31%安

 4)今後しばらくは「米10年国債利回り」をにらんだ市場動向の展開となる可能性が高く、注視したい。

●3.米2月ISM非製造業指数は低下、支払価格が上昇しインフレ加速を示唆(ロイター)

 1)米供給管理協会(ISM)が3/3発表した2月非製造業総合指数は55.3と、市場予想58.7を下回り、前月からも低下した。2月半ばにテキサス州を中心に米南部を襲った厳しい寒波がサービス部門の活動の足かせになった。サービス部門は米経済の7割を占める。

 2)支払価格が71.8と、前月の64.2から上昇し、2008年9月以来の高水準を付けた。

 3)雇用は52.7と、前月55.2から低下し、3/5発表の2月雇用統計への期待に水を差す可能性がある。

●4.米・2月ADP雇用統計(民間雇用者数)は+11.7万人と、予想+20.0万人を下回る(フィスコ)

 1)1月の+19.5万人からは伸びが鈍化した。

●5.米・2月雇用統計は、増加予想も冴えない伸びにとどまる可能性(フィスコより抜粋

 1)パンデミックで最も労働市場の現況を反映する週次失業保険申請件数の減少も期待通り進んでいない。コロナ異変種の拡大で一部の州が規制を再び強化させたことが響いた。そのため、2月雇用統計の雇用はプラスが保たれるものの、冴えない伸びにとどまる可能性がある。

 2)失業率は2月6.3%と、1月と同水準を維持した。しかし、失業者は1,000万人近くに達しており、金融危機の最悪期の水準に匹敵。また、多くの人が職探しをあきらめた状況での6.3%であり、実質的な失業率は10%と、パウエルFRB議長は労働市場に懸念を表明している。そのため、当面の回復を支援する大規模金融緩和が必要だとの考えを維持している。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)3/1、上海総合指数+42高、3,551
  ・2/26の大幅下落の反発とレアアース関連が急伸し、買いが先行した。(亜州リサーチ)

 2)3/2、上海総合指数▲42安、3,508
  ・原油や非鉄など商品市況安が逆風となり、投資家のセンチメントが悪化した。
  ・政府の経済対策に対する期待感は根強いものの、内容を見極めたいとするスタンスも漂った。(亜州リサーチ)

 3)3/3、上海総合指数+68高、3,576
  ・金利低下が買い安心感につながり、金融セクターが市場を牽引した。(亜州リサーチ)

●2.中国銀行保険監督監理委員会の主席が、海外からの資本流入の管理を検討(ロイター)

 1)海外市場のバブル崩壊リスクから、中国市場への波及を警戒し混乱防止策として、中国の景気回復を当て込んだ資本流入の管理措置を検討、と伝わった。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)3/1、日経平均+697円高、29,663円
  ・米長期金利が1.61%から1.4%台に下げ、前日の▲1,202円安の反動もあって、幅広く買われた。

 2)3/2、日経平均▲255円安、29,408円
  ・NYダウの大幅高を受けて一時+300円超を付けたが、米先物の低下を契機にして景気敏感株や値嵩株に利益確定売りが出て下落した。

 3)3/3、日経平均+150円高、29,559円
  ・米長期金利が低下したことと、米株先物の上昇で投資心理を上向かせ買い優勢となった。

●2.日経平均は30,000円達成以降、外資系の売り傾向もあり、需給が崩れて売り優勢の展開

 1)年初来の日本株の上昇率が、世界の株式相場の中で突出しているため、相場変調となれば相対的に売られやすい位置にいる。

 2)2月以降、TOPIXが前日比▲0.5%以上の下落があっても、日銀のETF買いは無かった。特に外国人短期筋が日本株を見る眼に変化が起る可能性がある。さすがに2/26の日経平均▲1,202円下落時、日銀はETFを501億円買い入れて相場を支えようとしたが、その金額はかつてのようなものではなかったことにも注目したい。

 3)日銀のETF購入スタンス変更が、日本株の強気相場に変化の兆しに影響を与えるか注目したい。

●3.外資系先物手口は売り越し基調

 1)3/01~03、日経平均は+593円上昇したが、外資系は先物で売り越し継続基調にある
  外資系先物買残枚数 2/25 +283,641枚 ⇒ 3/03 +255,849枚

 2)外資系先物手口と日経平均の推移
        3/01     3/02      3/03
  日経平均 +603円高   ▲255円安   +150円
  外資先物 ▲7,703枚売  ▲3,976枚売  +1,826枚買

 3)3/03は、野村の大口買+8,302枚が主導し、Cスイス+914枚買もあって、日経平均上昇

●4.昨年10~12月企業経常利益は前年同期比▲0.7%減、ただ減少幅は縮小(NHK)

 1)財務省発表の法人企業統計調査によると、製造業が+21.9%増とプラスに転じたが、非製造業は▲11.2%減少した。

●5.日本銀行株が連日のストップ高で4万円回復、マネーゲームとの指摘も(ロイター)

 1)1980年代後半のバブル期に投機の対象になった経緯があり、マネーゲームの色彩が強いとの指摘もある。

●6.企業動向

 1)メルカリ  アリババと提携し、越境ECを強化へ(日経新聞)

●7.企業業績

 1)伊藤園  5月~1月決算純利益+57億円黒字、前年同期比▲49%減(日経新聞)          

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6754 アンリツ     5G受注拡大期待。
 ・5201 AGC       業績期待。
 ・7747 アサヒインテック 業績回復期待。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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