相場展望3月1日号 バイデン政権政策は長期金利2%超(悪い金利上昇)を招き、米株価▲10~▲20%下落か?

2021年3月1日 08:56

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)2/25、NYダウ▲559ドル安、31,402ドル
  ・米長期金利が一時1.61%と、昨年2月以来の水準に上昇した。結果、米国株は長期金利上昇で警戒感が強まり、ハイテク株が主導し大幅安となった。
  ・金利が上がると相対的に割高感が意識されやすいハイテクなど高PER(株価収益率)銘柄が売られた。さらに、最近上昇していた景気敏感株にも売りが広がった。(日経新聞)

【前回は】相場展望2月25日号 「日経平均4万円」説の流布は過熱感を表すか?

 2)2/26、NYダウ▲469ドル安、30,932ドル
  ・投資家の慎重姿勢が強まり、景気敏感株が持ち高調整や利益確定売りで大幅安した。
  ・投資ファンドが損失確定の売りを出した。
  ・米10年債利回りが1.40%前半まで低下し、金利上昇が一服したことでハイテク株が買い直された。(日経新聞)

●2.FRBは「悪い金利上昇」を食い止められるか(日経新聞)

●3.米10年債利回り1.61%へ急伸、7年債入札の悲惨な結果を受け(フィスコより抜粋

 1)米財務省は620億ドル規模の7年債入札を実施した。
  ・結果で最高落札利回りは1.195%と、事前の利回り1.151%を大幅に上回った。
  ・また、応札倍率は2.04倍と過去6回入札平均の2.35倍を下回り、低調だった。
  ・外国中央銀行を含む間接入札落札比率は38.1%と、前回の64.1%を大幅に下回った。

 2)悲惨な入札結果を受けて、米国債相場は続落。10年債利回りは一時1.61%まで上昇し、昨年2月来で最高となった。

●4.米国株は2/25~26の2日間で大幅安は、投資家心理の楽観ムードがピークアウトの兆候?

 1)米株指数の下落状況
  NYダウ     ▲1,029ドル、▲3.2%
  ナスダック総合  ▲ 405  、▲3.0%
  SP500      ▲ 114  、▲2.9%

 2)FRB議長のパウエル砲「金融緩和継続発言」効果も2日間だけで、帳消しされた。
  ・下落の要因は、長期金利が節目の1.5%を超え、一時1.614%まで上昇しSP500配当利回り1.48%を上回った。
  ・そのため、株式の優位性が債券に比べて後退したことにより、資金が債券へ回帰する転換の恐れが生じたため。

 3)投資家心理が悪材料に意識が傾き始めた可能性に警戒したい。

●5.米長期金利上昇と、株価への影響

 1)金利上昇しているが要因は、
  ・(1)ワクチン普及と (2)大型追加経済対策で、景気回復期待がある。景気回復による資金需要の拡大を予想して、金利が上昇。

  ・大型追加経済対策を実施するうえで資金源として米国債の大幅発行する必要が生じるが、資金調達を円滑に行うために国債発行金利を上昇せざるを得なくなる。

 2)米株式市場下落の要因
  ・SP500の配当利回りは2/24に1.45%に低下。(ロイター)

  ・長期金利が1.5%を超えると、低金利で債券から株式市場に流入していた資金が、債券市場に回帰する流れとなりやすい。特に、株安リスクを抱える株式を保有するデメリットを抱えるぐらいなら、資金は債券市場に戻る圧力が増す。以上のような理由で、株を売って債券に還流する動きが加速した。

  ・2/26は金利が1.5%を超えて1.61%となったことが、過熱感がくすぶるなかで利益確定売りの引き金になり暴落したと理解する。

 3)今後の債券利回りの上昇緩やかになり、1.5%割れとなれば、株価も落ち着くと思われる
  ・ 2/26の米国市場で、NYダウが大幅続落したが、ナスダック総合が+72に上昇した要因は1.41%に低下したからだ。

  ・今後の長期金利の動向だが、最近の長期金利の上昇が余りにも急ピッチだったための調整で1.41%にまで一旦低下したものの、再度1.6%を超えて2%にチャレンジする可能性がある。
  
  ・米国時間2/25の米財務省が行った債券発行入札の悲惨な結果が、米長期金利の1.5%超の1.61%を引き起こしたと理解する。

  ・米追加経済対策1.9兆ドル(約200兆円)と大規模インフラ計画を実行するための資金調達には、ますます米財務省による債券発行額の増大に依存せざる得なくなる。2/25の悲惨な債券入札結果の状況が今後も続き、長期金利が2%を超える動きとなる可能性が高くなる。

 4)米インフレ率が2%超えの可能性高まる要因
  ・輸入物価指数の上昇
  ・原油市況の上昇:バイデン政権の環境保護政策がもたらす原油開発抑制効果で、100ドルもあり得ると予測するエコノミストも現れた。
  ・企業の生産コスト上昇がみられ、価格転嫁が進み、物価上昇圧力が増す。
  ・コモディティ価格も急上昇しており、今年の物価上昇率は3%に跳ね上がる可能性。
  ・FRBがインフレ率2%超えまで認める政策方針・経済回復優先政策がもたらすインフレ率上昇の後押し

 5)FRBは長期金利上昇を容認し、静観を決め込んでいる。
  ・アトランタ連銀総裁発言「米国債利回りはなお低水準」。NY連銀総裁発言「ワクチンと景気対策で力強く回復」。
  ・FRBは景気回復を優先するために、インフレ期待の上昇を支持している。FRBは昨年に物価上昇圧力が高まったにもかかわらず、長期間放置し、利上げしない新戦略を打ち出しており、金利上昇を容認している。

 6)FBRはインフレ率急騰で今までの量的金融緩和政策に齟齬が生じて継続困難となり、超金融緩和政策を放棄し段階的縮小に転換する可能性が高くなると予想する。その時期だがFRBは現段階では2023年以降としているが、早まる可能性がある。金利上昇が経済回復に水を差す ⇒ 住宅、自動車、消費者動向の縮小。

 7)バイデン政権も金利上昇を容認する構え
  ・大規模1.9兆ドル(約200兆円)の経済対策法案成立を強力推進。
  ・法案が成立する見通しになったこともインフレ期待を押し上げ、金利上昇をサポートしている。

 8)また、企業は自社株買いや事業運転資金、設備投資をするため債券発行して資金調達している。このため、金利アップは企業の金利負担増に直結し、企業業績の低下に働く。

 9)バイデン政権は金利上昇を抑制できるか?
  ・金利上昇の抑制はバイデン政権の政策方針変更をもたらすが、その可能性は当面は予想できない。
  ・大規模経済対策の終焉を図る予兆もない。
  ・労働者支持基盤とする民主党、特に民主党左派勢力の強い圧力、イエレン財務長官の労働者保護を主軸とした財政政策を主軸とした政策を掲げる限り、金利抑制の見通しは立たない。
    ⇒ やはり、金利上昇の実現可能性が高まるとみる。

 10)長期金利が2%を超えて、米株は▲10~▲20%暴落の恐れが高まる
  ・米債券トレーダーは物価と金利が上昇するとみて取引している。
  ・長期金利の上昇に歯止めを掛けられないと思われる。
  ・したがって、長期金利2%超え⇒金融市場の資金はリスクのある株式市場から債券市場への回帰⇒株価大幅下落、つまり暴落の可能性を高めている。経験則から米株は▲10~▲20%下落の可能性を示唆している。

●6.インフレ率上昇の要因

 1)原油価格上昇:バイデン政権の環境規制強化による新規開発抑制で原油価格上昇
         WTI価格2/24 63.22ドル ⇒ 100ドルの可能性
 2)景気回復:需要増がもたらすインフレ効果増
 3)輸入コスト高:消費者への価格織り込みが進展

●7.ドル円は、106.32円までドル高・円安、米株安でリスク回避のドル買い(DZH)

●8.米GDP10~12月期+4.1%と予想+4.2%を下回る(フィスコ)

 1)10~12月期は感染再拡大で伸び鈍化。(ロイター)1~3月期は感染件数減少と大規模景気対策で成長率は最大6%に達するとの見方。

●9.米・先週分新規保険申請件数は73万件と予想82.5万件を下回り、雇用改善(フィスコ)

●10.企業動向

 1)モデルナ   10~12月期売上高はコロナワクチン効果で41倍に (日経新聞)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)2/25、上海総合指数+20高、3,585
  ・海外の株高が買い安心感を誘う流れとなった。
  ・また、中国の経済対策に対する期待感も根強く、株価上昇した。

 2)2/26、上海総合指数▲75安、3,509
  ・米財務省が実施した7年債の入札不調で、米10年債利回りが一時1.61%と上昇したことを受け、上海市場の金利も上昇した。急速な金利上昇が株式市場の逆風になると懸念され下落した。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)2/25、日経平均+496円高、30,168円
  ・米国の金融緩和継続による大幅な株高を受けて買い安心感が広がり、値嵩株が牽引して大きく上昇した。

 2)2/26、日経平均▲1,202円安、28,966円
  ・下落幅の大きさは2016年6月24日以来。米株式市場が長期金利上昇したため、高PER(株価収益率)のハイテク株を中心に下落し、さらに月末の持ち高調整の売りもあり、下げ幅が加速した。
  ・日経平均225採用銘柄で上昇したのは、花王・出光興産・ソフトバンクの3銘柄のみ

●2.日本株式市場は米国株との連動で乱高下

 1)外国人投資家の先物動向は不透明感が増している
  ・2/25に外国人合計で+11,621枚の大幅買い越し ⇒ 2/26は▲5,800枚の大幅売り越し。
  ・最近、売買ブローカーが日替わりで交代しており、外国人動向の方向性がみえない。

 2)外国人の先物残高(28万枚の買い)の高水準と、2/25の大幅買いに対して2/26は売り戻し切っていないため、3/1の週は売り圧力として残る。

 3)ただ、米10年国債利回りが1.4%台に低下したことと、2日間の大幅下落の反動で、3/1の週は株価上昇する可能性もある。

 4)いずれにしても、日本株は米株との連動性が高いため、米国株と米国債利回りの動向次第となる。

 5)ただ、米国債の利回りは上昇を指向しているとみており、株価の反発があっても一時的なものに留まる可能性がある。

●3.日本長期金利2/15、0.15%に2年4カ月ぶりに上昇、米長期金利上昇を受け(NHK)

 1)日本長期金利は2/26、一時0.175%まで上昇し、大手4銀行は住宅ローン金利引き上げ。長期金利が上昇すると、住宅ローン銀行借入などで個人や企業の利払い負担が重くなる。金利の水準はなお低いものの、景気回復への逆風となる恐れがある。(時事通信より抜粋

●4.企業業績

 1)西武     今3月期純損失630⇒800億円赤字に下方修正、ホテル事業で(NHK)

●5.企業動向

 1)日本航空    2022年度も新卒採用を大幅縮小、感染収束見通せず(NHK)
          採用者数 2020年4月2,200人⇒2021年4月200人
               2022年はパイロットと障害者に限る。
 2)JR九州     2022年春の新卒採用見送り(西日本新聞)
 3)シャープ    テレビ用液晶生産の関連会社の保有全株を売却(NHK)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6113 アマダ    業績拡大の期待。
 ・4452 花王     増配期待。
 ・9062 日通     業績期待。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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