相場展望2月4日号 米SNSによる個人投資家が起因した騒動は収束へ ハイテク好決算で楽観論に戻った米株式市場 米株次第の日本株

2021年2月4日 07:40

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)2/1、NYダウ+229ドル高、30,211ドル
  ・小口個人投資家がSNSを使って集団化してゲームストップ株を買い上がり、空売りのヘッジファンドの買戻しでさらに株価が上昇するという狂騒劇があった。その投機的な買い動きが収束するとの見通しが出て、押し目買いが入った。

【前回は】相場展望2月1日号 外国人投資家の相場操縦で、買いに誘われた個人信用投資家がハシゴ外され損失を抱え込む展開

 2)2/2、NYダウ+475ドル高、30,687ドル(共同通信より抜粋
  ・追加経済対策の早期実現に対して楽観的な見方が広がり、買い優勢となった。
  ・個人投資家集団による投機的な買いも収束する見通しで、市場の混乱に対する警戒感も和らいだ。
  ・アマゾン、グーグルの親会社アルファベットなどが好決算への期待から上昇したことも相場を支えた。

 3)2/3、NYダウ+36ドル、30,723ドル
  ・検索サイトのグーグルの親会社アルファベットが決算発表し予想を上回る増収増益となった。アナリストによる目標株価の引き上げが相次ぎ、買いが広がった。(日経新聞)
  ・2/1~2とNYダウで+700ドル超上昇したこともあって、利益確定売りが出た。

●2.モルガンスタンレー、新興国株は今年のピークに達した可能性(ブルームバーグ)

 1)上昇しない理由:
  (1)銅価格の下落
  (2)米欧日の中央銀行による資産拡大の落ち着き
  (3)リフレ期待の頭打ち
  (4)中国の流動性引き締め
  (5)ドル相場の安定
  (6)利益修正の一服
  (7)新興国への楽観的な資金流入 

●3.SNS投資家に苦い教訓、時価総額18兆円が数日で吹き飛ぶ(ブルームバーグより抜粋

 1)急騰したゲームストップ株、AMC株、銀が急落した。
  2/4の米株式市場では、ゲームストップは▲60%安の90ドルで取引終了。AMCは▲41%下落した。
 2)ブルームバーグによると、ロビンフッドが取引制限の対象とした50銘柄の時価総額は2020年末時点から計2,760億ドル(約29兆円)増加したが、数日間で▲1,670億ドル(約▲18兆円)が吹き飛んだ。だが、その痛みが和らぐ気配は見えていない。

●4.米国株コメント

 1)先週後半の急落は、ゲームストップ・ショックと言えるものだが、理由はともあれチャートが崩れたことは事実である。

 2)市場心理の不安感を示す恐怖(VIX)指数は依然として20ポイントを上回り、市場の警戒感は続いている。

 3)力強く見える時の株式市場は、実は意外ともろいもの。

 4)今後の注目点
  (1)個人投資家の株式投資への参加率急低下
  (2)株式市場に対する政府・証券取引委員会(SEC)による監視・規制強化
  (3)各国の中央銀行による金融緩和策の段階的縮小
   ・緩和策が縮小する前の下落は、押し目買いのチャンスとなる可能性高い。

●5.イエレン米財務長官はゲームストップ問題で金融規制当局と協議へ(ロイターより抜粋

 1)「市場の最近の混乱と一連の動きが投資家保護と公正で効率的な市場の原則に即していたかについて協議する」と財務省報道官は述べた。

 2)ゲームストップなど一部銘柄で、個人投資家取引が株式市場を乱高下した問題について、週内に、早ければ3日に開催される可能性がある。

 3)参加者は、証券取引委員会(SEC)、連邦準備制度理事会(FRB)、ニューヨーク連銀、商品先物取引委員会(CFTC)のトップ。

●6.米共和党の上院議員10人が経済対策縮小を主張し、6,000億ドル規模の代案提示(ロイターより抜粋

 1)米議会は2020年、4兆ドルの新型コロナ対策を可決している。

 2)この新たな経済対策をめぐる動きは、党派を超えた議会運営を約束したバイデン大統領にとって試金石となる。

●7.米新興証券ロビンフッドは取引制限50⇒8銘柄に縮小、議員は規制主張(ブルームバーグより抜粋

 1)小口の個人投資家はロビンフッドの規制で取引できない状況が生じたが、機関投資家たちは他の証券会社を通して取引できたため、両者間で不公平が生じた。

 2)ロビンフッドによる制限が契約違反に当たるとして、複数の訴訟が既に起こされている。

 3)民主党左派のウォーレン上院議員は1/31、最近の株価の乱高下に対する大掛かりな調査を証券取引委員会(SEC)に求めた。

●8.米ISM製造業景況指数1月は58.7と高水準ながら、価格上昇圧力強まる(ブルームバーグより抜粋

 1)米供給管理協会(ISM)発表で、予想58.7と前月60.5からは低下。

 2)新型コロナの影響によるサプライチェーンの乱れで、生産が抑制されたため、コスト上昇に拍車がかかった。仕入価格指数は2011年4月以来の高水準。

●9.アマゾン創業者ベゾス氏、CEO(最高経営責任者)を退任へ、今後は取締役会長に(NHKより抜粋

 1)「これは引退ではない」と、今後も会長として新製品の開発や新規事業の立ち上げで会社の経営に関わるほか、自身が設立した宇宙開発ベンチャーや、8年前に買収した有力紙「ワシントン・ポスト」などの運営にも力を注ぐと説明している。

●10.欧州関連

 1)ユーロ圏の2020年GDP、2度のロックダウンが影響し前年比▲6.8%減(朝日新聞)
  ・経済規模最大のドイツ▲5.0%、感染犠牲者が多いスペイン▲11.0%減。
  ・EUはワクチン調達に手間取り、市場は景気が回復するのは4~6月期からと見る。
  ・10~12月期ユーロ圏は▲0.7%減と、予想ほど落ち込まず。(ブルームバーグ)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)2/1、上海総合指数+22高、3,505
  ・中国人民銀行が資金供給を連日実施したため、短期金利の低下が好感された。
  ・先週末の株価下落で安値を付けていただけに、買戻しも入りやすかった。
  ・ただ、中国景況感が悪化しており、上値は重かった。(亜州リサーチ)

 2)2/2、上海総合指数+28高、3,533
  ・中国人民銀行が連日の資金供給をし、資金逼迫の懸念が後退し、投資家心理を上向かせている。
  ・新型コロナ感染者数が低水準なことも、買い安心感につながった。(亜州リサーチ)

 3)2/3、上海総合指数▲16安、3,517
  ・中国人民銀行は本日、資金吸収し、金融引き締めの動きを警戒する流れとなった。
  ・春節(旧正月)の大型連休が来週から始まることも、投資家の買い控える一因となった。ただ、大きく売り込む動きは見られない。(亜州リサーチ)

●2.中国1月財新・製造業PMIは51.5と、予想52.6を下回る(フィスコ)

●3.中国1月財新・サービス部門PMIは52.0と、昨年4月以降で最低(ロイター)

 1)好不況の分かれ目となる50を上回ったが、昨年12月の56.3からは下回った。

 2)雇用指数は50.7と昨年7月以降で最低で、前月52.0からも下回った。

●4.中国人民銀行は2/3、実質約▲1兆3,000億円の資金吸収(ブルームバーグ)

 1)当局が過剰流動性を懸念している模様。

●5.中国の上海金融当局は、銀行に住宅ローンの調査を指示、不動産相場過熱を牽制(ロイターより抜粋

 1)中国銀行保険監督管理委員会の上海支部は1/29、銀行に対し、個人向けの住宅ローンに関する調査を指示するなど、不動産バブル回避に向け規制を強化した。

 2)上海の不動産市場は2020年の取引高が4年ぶりの高水準を付けた。居住用物件の相場過熱を抑えるために、上海の住宅規制当局は最近、規制を強化した。

●6.中国は2020年の米制裁前に半導体・製造装置を駆け込み購入(ブルームバーグより抜粋

 1)中国企業は2020年に半導体製造装置を日本や韓国、台湾などから約320億ドル(約3兆3,600億円)相当を購入した。2019年からは+20%増加となった。輸入企業は、中芯国際集成電路製造(SMIC)などの半導体メーカー。

 2)半導体輸入額は2020年3,800億ドルと約14%増えた。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)2/1、日経平均+427円高、28,091円
  ・米投機取引に収束見通しも浮上して、安心感が広がった。
  ・先週大幅下落の自律反発と、米NYダウ先物が買戻されて、日経平均は上昇に弾みを付けた。

 2)2/2、日経平均+271円高、28,362円
  ・米国株高を背景に、米株先物が堅調に推移したことが牽引し、買い優勢となった。

 3)2/3、日経平均+284円高、28,646円
  ・好決算を好感した米国株高を受け、一時+300円超となったが、先に押し目買いした利益確定売りが重石となった。

●2.日経平均の反発は、米株動向を見て動く先物買いが牽引

 1)2/1~2は野村の先物買いが牽引し、日経平均は大きく上昇した。
  ・野村の先物買い状況: 2/1、+4,796枚買い越し、2/2、+1,462枚買い越し

 2)2/3は外資系全体の先物買いが牽引した。
  ・外資系全体の先物買い: 2/3、+6,733枚買い越し(Gサックス+メリル3,521枚)

 3)いずれにしても、日本株は米国株の動向次第であることには変わらず。

●3.企業業績

 1)第一三共  4~12月期の純利益は前年同期比▲44%減の+758億円。(日経新聞)コロナ影響で受診抑制が響く。
 2)丸紅   2021年3月期純利益を+1,500億円⇒+1,900億円に上方修正。原油や銅など資源価格が想定を上回ったため。(ロイター)
 3)日本ユニシス 10~12月期営業利益+46.8億円で前年同期比▲14.6%減。(フィスコ)受注残も減少し不透明感強まる。
 4)モノタロウ  2020年12月期純利益+137億円黒字で、11年連続最高益(日経新聞)
 5)日本郵船   2021年3月期純利益+900億円と前期比2.9倍に上方修正(日経新聞)
 6)ソニー    2021年3月期半導体・ゲームが好調で純利益1兆850億円と過去最高。純利益では初めて1兆円突破を見込む。(東京商工リサーチ)    
 7)野村   10~12月期純利益は事業再構築に成果で7割増(ブルームバーグ)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・4188 三菱ケミカル   好業績期待。
 ・6754 アンリツ     5Gで受注増期待。
 ・4397 チームスピリット 業績期待、米セールスフォースと資本提携。
 ・3141 ウェルシア    売られ過ぎ。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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