相場展望12月17日号 更なる株価上昇には、米FRBの追加緩和策が必要 ⇒ 前向きサプライズなら株価上昇、失望なら調整?

2020年12月17日 08:43

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)12/14、NYダウ▲184ドル安、29,861ドル
  ・経済対策の合意期待やワクチン接種開始で続伸して始まったが、感染再拡大に歯止めがかからず、NYなどの都市封鎖の必要性が再度浮上し売り込まれた。

【前回は】相場展望12月14日号 米国株は(1)クリスマス休暇入り (2)年末の節税売りで、(3)FRB緩和策、追加対策の合意 (4)ワクチンに注目

 2)12/15、NYダウ+337ドル高、30,199ドル
  ・超党派による米経済対策法案が、与野党で合意しやすいように2法案に分割すると公表されたのが好感された。
  ・モデルナ社のワクチンが有効性あり早期承認を得られると伝えられ、景気回復期待が高まり、景気敏感株に買いが入った。
  ・アップルのiPhoneが3割増産との報道で、アップル株の上昇が株式市場を牽引した。

 3)12/16、NYダウ▲44ドル安、30,154ドル
  ・米11月小売売上高が市場予想を下回ったため、12月も消費が落ち込みそうだと嫌気され、売りが出た。
  ・ただ、追加経済対策の早期成立で景気回復するとの期待と、量的緩和が長期化するとの見方が市場心理を支えた。

●2.米11月小売売上高は予想(▲0.3%)以上に下回り▲1.1%(フィスコ)

 1)10月は▲0.1%と月を追うごとに悪化している。

●3.米12月NAHB住宅市場指数は予想(88)を下回り86(フィスコ)

 1)11月は90。

●4.テスラが12/21からSP500構成銘柄に採用され、株価上昇の要因となる可能性

 1)テスラのSP500に占める構成割合が高いため、テスラの株価に振らされやすくなる。
 2)ファンドは指標にSP500を使っているため、テスラ株購入の動きとなる。その結果、テスラ株高⇒SP500指数の上昇が考えられる。

●5.世界株高と、中央銀行の量的緩和策との関連について

 1)世界的な株式市場の高値要因は、米国・欧州の中央銀行による新型コロナ対策金融緩和。
  (1)市場への膨大な資金供給 ⇒ 行き場を失った膨大な余剰マネーが金融市場に流入。
   ・米FRBは、2019年8月比189% 350兆円増
   ・欧ECBは、2019年9月比150% 280兆円増
   ・なお、コロナ後の日銀を含む量的緩和増額は合計で230兆円増
  (2)ゼロ金利 ⇒ 債券市場ではなく株式市場に雪崩れ込んで、ハイテク株中心に株高。

 2)米国・欧州・日本の中央銀行の金融緩和総額と、世界株式時価総額の相関関係は高い。
  (1)指数化で見ると、金融緩和額が先行して、株式時価総額が後追いしている。
  (2)現在は株式時価総額が追い付いた状態で、さらなる株価上昇には新規緩和策が必要。

 3)ゼロ金利政策の下で、余剰マネーは世界の株式市場に流れ込む⇒株高となった
  だが最近は、金利上昇の傾向にあり⇒株式に割高感が出てくるリスクをはらむ

 4)12月以降の中央銀行の姿勢
  ・米FRBは、12/15FOMCで追加金融政策を決定予定
  ・欧ECBは、12/10に追加緩和額として63兆円増を決定


 5)中央銀行の緩和政策から見た、今後の株価動向は、12/16の米FOMC次第となりそう
  ・米連邦公開市場委員会(FOMC)が12/15~16開催されるが、結果公表の内容に注目
  ・内容が前向きのサプライズだと株価上昇、失望だったら調整入りの可能性 ⇒ 米FOMC決定内容・・市場に追加緩和期待を持たせながら問題先送りの記者会見。
  (1)政策金利は据え置きを決定。金利の誘導目標は0.00~0.25%で市場予想通り。
  (2)追加緩和措置を見送る。量的緩和構成や購入ペースに修正なし。
  (3)パウエルFRB議長は、経済がコロナ前に戻るには時間を要すると述べた。

●6.米国、ファイザーのワクチン接種が12/14から始まった(時事通信より抜粋

 1)週内にはモデルナ製ワクチンにも緊急使用許可が出ると見られ、重症化リスクの高い医療従事者や介護施設入所者を対象に、年内に2,000万人(4,000万回分)を準備して感染抑制を急ぐ。

 2)米政府高官は、来年3月までに1億回分、6月末までにさらに1億回分の確保見通し示す。

 3)米国では1日当たりの新規感染者数は20万人前後、死者数は合計約30万人と世界最大。

●7.エアビーとドアダッシュの株価が危険な割高水準とアナリスト指摘で急落(ブルームバーグ)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)12/14、上海総合+21高、3,369
  ・前日までの下落に対する反動で、自動車株などの買いが優勢となった。(日経新聞)

 2)12/15、上海総合指数▲1安、3,367
  ・11月経済指標発表を控えて神経質な動きとなった。(フィスコ)
 
 3)12/16、上海総合指数+1安、3366
  ・米国の中国企業への投資禁止を懸念し売られたが、経済政策期待で下支え。(日経新聞)

●2.中国スマホメーカー「小米(シャオミ)」が株式と転換社債発行で4,085億円調達(東洋経済)

 1)資金使途は、業容拡大・市場シェア拡大・エコ強化。

●3.香港での公務員の「忠誠宣誓式」、拒否者には解雇の可能性も(AFP、時事通信)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)12/14、日経平均+79円高、26,732円
  ・日銀短観で景況感改善を好感、米財政対策協議の継続に期待して買いが入った。
  ・米国でワクチン接種が12/14開始見込み、超党派の追加経済対策公表と伝わり、先物が上昇し買い優勢となったが、高値警戒感もあり、伸び悩んだ。(モーニングスター)

 2)12/15、日経平均▲44円安、26,687円
  ・NYダウ下落を受け米経済活動の制限懸念と、「Go To一時停止」で景気悪化が懸念され日経平均も売り先行した。
  ・米FOMCを12/15~16に控え、様子見も広がった。

 3)12/16、日経平均+69円高、26,757円
  ・NYダウ大幅上昇を受け、一時+190円近辺まで上昇して始まったが、ワクチン期待とコロナ感染拡大による景気悪化懸念とで強弱感が対立するなか、米FOMCを前に内容を見極めたいとして買い手控えがあり、上げ幅は縮小した。

●2.日経平均の動向

 1)外資系先物手口は、閑散相場のなか、外国人同士での売買攻防となり、方向感が出ない展開となってきている。
 2)日経平均は27,000円をうかがう状況になったが、円高(103円台)もあって、上値を追う環境となる可能性は低い。
 3)外資系の買い仕掛けは不発に終わりそう。例年のことだが、外国人の売買額は12月に入ると減少傾向を辿るという経験則がある。

●3.第3次補正予算案・追加歳出19兆円余を閣議決定12/15(NHK)

 1)歳出内容(主な項目)
  (1)感染防止策
   ・医療提供体制強化  緊急包括支援交付金増額   1兆3,011億円
   ・時短・休業要請                 1兆5,000億円
   ・Go To延長                   1兆円
   ・コロナ対策予備費                5兆円
 
  (2)経済構造の転換
   ・事業転換支援    中堅・中小企業の事業転換  1兆1,485億円
   ・行政デジタル化                   1,788億円
   ・脱酸素社会                   2兆円

  (3)国土強靭化
   ・風水害・巨大地震の対策 インフラの老朽化対策  2兆2,604億円
   など。

 2)次の焦点:来年度予算の課題
  (1)感染拡大の防止
  (2)ポストコロナに向けた経済構造の転換
  (3)財政健全化

●4.日銀短観では、景況感が2期連続で改善したが、マイナス圏は抜け出せず(朝日新聞より抜粋

 1)12/14発表の12月「短観」は、代表的な指標の大企業製造業の業況判断指数(DI)が、前回9月調査より17ポイント改善してマイナス10となった。

 2)大企業非製造業は7ポイント改善のマイナス5。「Go To」効果があり持ち直した。

 3)「第3波」の国内感染拡大が続き、景気の先行きは不透明。

●5.菅首相が12/14表明、観光支援事業「Go Toトラベル」を全国一律停止(徳島新聞)

●6.洋上風力発電の目標を引上げて最大原発45基分で官民合意(朝日新聞、ロイター)

 1)日本は2040年までに3,000万~4,500万KWの導入を目指す。発電能力で原発30~45基分に相当する。日本の現状は、1~2万キロワット程度。発電コストは、着床式で8~9円/1KW時にする。国内調達比率60%へ

 2)欧州連合(EU)は、世界をリードしており、2050年に洋上風力発電を原発300基分の300ギガワット(GW)に引上げる目標を発表した。現在は12GWで、2030年に60GW、2050年に300GWの工程で推進する。

 3)ドイツは2040年40GW、米国2030年22GW、台湾2035年15.5GWが目標。

●7.塩野義製薬、新型コロナワクチンの治験入りと12/16発表、国内製薬大手で初(産経新聞)

 1)治験の対象は、国内の健康な成人200人で、12/16に1人目に投与した。

● 8.日本政府観光局、11月外国人旅行客は前年同月比▲97.7%減(NHK)

●9.企業動向

 1)日立製作所  海外家電事業の持分6割を、トルコ大手へ約310億円で売却(時事通信)
          トルコのアルチェルクは欧州・中東に強みがあり、共同で収益力を強化。
 2)ユーグレナ  健康事業の強化で、青汁のキューサイを買収へ(共同通信)
         投資ファンドのアドバンテッジと東京センチュリーと共同で、全株を保有するコカ・コーラから株式を取得する。
 3)武田薬品   売上高目標は2030年迄に5兆円(2020年3.2兆円)。(ニュースイッチ)
 4)富士電機   EV(電気自動車)用半導体増産へ1,200億円投資。(フィスコ)
 5)出光興産   東亜石油をTOB実施すると発表。(フィスコ)
 6)味の素    先端技術を持つ企業などへ投資。(時事通信)
 7)神戸製鋼   三井物産、鉄鉱石世界最大手バーレ社と低炭素製鉄で合意。(時事通信)

■IV.注目銘柄(株式投資は自己責任でお願いします)

 ・7518 ネットワン  DX関連
 ・7012 川崎重工   水素、手術支援ロボットに注目
 ・5801 古河電工   洋上風力発電関連

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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