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トヨタの強さ、日産の弱さ、ホンダのチョンボ (1) 「品質はマニュアルと教育」では出来ない
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トヨタの河合満前副社長、現執行役員は、知る人ぞ知る「現場人間」だ。副社長になっても本社ビル上層階に事務所を移さず、工場内にとどまっていることは有名な話だ。毎朝、従業員と同じ風呂に入り、同じ飯を食い、社員だけでなくサプライヤーの人々まで前向きな心にしている。ここに、自動車会社の現代の経営についての本質が含まれている。「AIの先生は人間」であり、「職人芸がAIにデータを提供する」ということだ。
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「技術は買って来ればよい」は論外であるとしても、「モデルベース設計でスピードを上げ、現場・現物主義をやめるべきだ」、「カイゼンなどと小さなことを言っているから革命に追いつけないのだ」など、辛辣な批判がトヨタに対して大学教授や技術者と称する人々から行われている。これは、現実に現場を引っ張ってきたことがない人の言葉だ。
「品質はマニュアルと教育」との意見が自動車メーカーの不祥事の際も主張されてきた。しかし、そうした教育が効果を発揮する基礎は、「人間の意思」がどの様に前向きに培われているのかにかかっている。
「教育」と称してどれほどパワーをかけても、社員の気持ちが前向きになっていない時には単なる「パワハラ」にしかならない。「品質を上げ」「コストダウン」を行うには、先行して社員の気持ちを前向きにする努力が必要なのだ。
「マニュアルと教育」で品質保証が出来ると考えている「品質の専門家」と称する一団が、企業の品質を下げてしまうのだ。
「自動化」は「高度の全自動加工機を購入すれば出来る」と考えている取締役がいたら、株主は至急、その取締役を解任するべきだ。さもないと「コスト上昇」を招き、「品質不良」を起こす。これが「技術は買って来ればよい」とするホンダの現実なのだ。
高度な全自動機は、「加工の実体」をその奥深くに隠してしまう。だから常にカイゼンすることも出来なくなる。故障すれば復旧に時間がかかる。加工工程を前進させようとすれば、機械が無駄になることも出てくる。安全な自動機がカイゼンを邪魔するのだ。
河合前副社長は、常に現場に立ち社員に声をかけ、前進したことは褒め、怠慢であれば叱咤する。さぞかしうるさいオヤジと社員は思っているだろうが、社員に不幸があれば一緒に涙し、うれしいことがあれば大いに喜び、現場と苦楽を共にして、ハイテク自動車の世界No.1企業を引っ張ってきたのだ。これがトヨタの強さになって、現在苦境の中で結果として表れている。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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