丸紅と第一生命が国内不動産事業を統合、そのメリットは?

2025年3月16日 20:04

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●共に株価が一時上昇

 大手商社丸紅と生保大手の第一生命ホールディングスが、2月28日に国内不動産事業を統合すると発表した。発表を受けて両社ともに株価が一時上昇した。

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 丸紅の国内不動産開発・所有賃貸事業と、第一生命HDの非連結子会社が対象となる。7月1日からの統合で、出資比率は50%ずつとなる。

 今回の統合で、不動産運用残高は1兆7000億円(2024年12月)を超え、国内最大規模となる。

 両社の統合でどのようなメリットがあるのだろうか?

●丸紅と第一生命の不動産事業

 丸紅の不動産事業は、2003年からREIT(不動産上場投資信託)にも参入しており、ユナイテッド・アーバン投資法人などがある。不動産私募ファンドを含めると1兆円超の運用事業を持つ。

 第一生命は、全国に277棟の投資用不動産を将有しており、東京都世田谷区の第一生命グラウンドは東京ドーム約2個分の敷地にスポーツ施設だけでなく、ファミリー向けマンション、学生向け住宅、サービス付き高齢者住宅も併設している。

 2024年1月からは、機関投資家向けの非上場オープンエンド型私募リート「第一生命総合リート投資法人」の運用を開始している。

●両社にとってメリットは?

 両社は2024年6月から、不動産分野における戦略的提携関する覚え書を締結しており、新たな価値創造に向けてパートナーシップ構築の協議を進めていた。

 商社と保険会社という全く別業種の不動産事業統合は、稀有なケースではある。

 相互補完で開発から運営管理までの一連のサービスを一括で提供できるようにしたい考えで、事業運営効率の改善を実現したい。

 まだ分からない部分が多いが、第一生命は一般勘定を含めないとしており、保険料には影響が出ないように慎重な姿勢であることが窺える。

 丸紅側からすれば、第一生命の財力は魅力的である。ただ株価の上昇は小幅であり、バフェット氏の商社株買い増し発言の影響を受けたものである可能性もある。

 新たなREITの創出も期待され、国内最大規模の不動産アセットマネジメント事業ができることは、日本にとって悪いニュースではない。

 今後、生保と他業種との不動産事業統合が続く期待もある。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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