鳥インフルで鶏卵高 ワクチンなど防止・治療の道は?現状は?

2025年3月12日 12:33

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 ものの価格は需給関係で決まる、と言ってしまえばそれまでだが・・・。ホクリヨウ(1384、東証スタンダード市場)が今2025年3月期を2月12日に、上方修正した。期初予想「1.5%増収、39.0%営業減益」を「2.1%増収(193億円)、22.9%営業減益(17億3000万円、配当性向30%堅持16円増配70円配)」とした。採卵養鶏場大手(北海道シェア50%)のホクリヨウでは修正をこう説明した。

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「昨年10月に北海道で感染が確認された鳥インフルエンザは全国に広がり、これまでに840万羽を超える採卵鶏殺処分され、鶏卵相場は想定を上回って推移している。結果、売上高・利益とも前回の予想を上回る見通しとなった」。

 鳥インフルエンザに予防ワクチンや有効薬はない。

 このことは前回の鳥インフルエンザ発生期(20年末)にも確認した。22年3月期(17.6%増収、224.3%営業増益)をホクリヨウは「コロナウィルスの影響で引き続き鶏卵業界は業務用・加工用共に需要は減少。が、一昨年末に発生した鳥インフルエンザ感染による採卵鶏の淘汰の影響を受け、当事業年度の平均鶏卵相場は前年比で45.55円~51.97円高となった」とした上で、「鳥インフルエンザのワクチン・治療薬の類は目下ない」ともした。

 養鶏場で1羽の感染が確認された場合、全ての鶏は殺傷処分を余儀なくされる。今回改めて鳥インフルエンザにまつわる、研究の現状を調べてみた。

 宍戸貴雄氏。塩野義製薬の創薬疾患研究所で、抗インフルエンザなど感染症治療薬の開発で貢献を残している。宍戸は鳥インフルエンザ絡みでも、こんな研究と対峙している。

 22年秋から翌春にかけ「高病原性鳥インフルエンザ」が猛威を振るった。この流行は多数の鶏が飼育されている養鶏場だけではなく、自然界の希少な野鳥や絶滅危惧種の存続をも脅かした。具体的には鹿児島県で、病んだナベヅルやマナヅルが発見された。宍戸氏は(鳥インフルの影響などから)絶滅危惧種を守る施策と、対峙している。

 鳥インフルエンザに絡む研究は、動き出している。そうした流れに期待したい。私が鶏なら卵を産まされ、鶏肉として食される前に「病で殺傷」という憂き目には会いたくない。

 ホクリヨウの本稿作成中の時価は1400円台入り口。予想税引き後配当利回り4%強水準。投資妙味は覚える。が過去8年余の修正済み株価パフォーマンスは60%。鳥インフルエンザにワクチン・治療薬の目途が立つまで中長期保有も・・・とも思えるが如何に。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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