リックスの足元に不安なしも、一歩踏み出した展開を期待したい理由

2025年3月16日 19:48

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  リックス(7525、東証プライム市場)の安井卓社長と、Zoom取材の機会を得た。鉄鋼・自動車をはじめとした広範囲な産業界向け商社。メーカーとしての面も有している。

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 取材を行った3月4日の終値は3030円。後10歳/20歳も若ければ「頼み込んで社員の末席に」と思った。リックスの社員持ち株比率は2.8%。その一角に加わりたいと考えたからだ。過去10年弱の修正済み株価パフォーマンスは2.5倍。相応の第2の退職金が得られる。

 が詳細は後述するが、投資対象としては幾つかの問題点を覚えたのも事実。

 コロナ禍の影響を受けた(ex、15円減配)2021年3月期後の営業利益動向は、「44.5%増/28.9%増/6.6%増」。そして今3月期は「鉄鋼・自動車・電子・半導体向けが想定以上に好調」を理由に、期中に上方修正「8.5%増収(540億円)、3.8%営業増益(36億8000万円)」計画。

 至27年3月期の中計も「売上高600億円(24年3月期比21%増収)、経常利益47億円(21%増益)」を掲げ、「成長分野の売上高を75億円とする」「オリジナル商品比率40%以上」「ROE11%以上」としている。

 メーカーとしての面も、評価に値する。工作機械業界向けを中心とした、ロータリージョイント(流体を送る際に、全く漏れことがない360度の回転が可能な継手)。噛み砕くと、飲料水業界などにもってこい。しかも国内シェア70%(国際的にも実質トップ)。

 と記してくると「問題点云々」とは何なのだ・・・となろう。

 商社機能はこれまでの歴史・実績から順調な展開が見込まれようが、目を奪われたのは自己資本比率の高さ。57.4%。借入金に頼らずとも新たな事業展開が可能なはず、と捉えた。

 安井社長は20億円近くを投じ昨年11月に稼働を開始した、「研究開発センター」の存在を指摘した。期待したい。が果たして極論すれば「第2・第3のロータリージョイントの開発・登場」といくのかであり、自己資本を活かす道が開けるのだろうか。

 また、事業展開の流れの中で生まれた筆頭株主:NOK(発行済み株式の13.5%を保有)の存在。「特定株主:46.8/浮動株16.0%」を勘案すると、実質「政策投資問題」。より広範な投資家を呼び入れるためにも課題となるはず。安井社長は問いかけに「現時点では(NOKとの間で)協議中とする」とした。

 歴史・実績ある企業だけに、「半歩/一歩」踏み出した展開を期待したい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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