【超音速旅客機(SST)開発ブーム (2/2)】三菱・スペースジェットも時代遅れか?

2020年2月22日 16:23

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 かつて、イギリス・フランス共同開発のコンコルドは、アメリカのボーイング社とロッキード社がマッハ3の計画だったのに、マッハ2.2にとどまっていた。これが意味するものは、コンコルドが技術的にはその当時でも「古い」ものだったということを示している。

【前回は】【超音速旅客機(SST)開発ブーム (1/2)】 やはりカギは「燃費」か 投資家は本気

 最も難しかったのはチタン合金で造ることだった。コンコルドはゼロ戦と同じく「超々ジュラルミン」を使用していた。またそのエンジンは純ジェットエンジンであり、現在、軍用機では普通になっている「超音速用ターボファン」ではなかったのだ。

 つまり、コンコルドは激しく燃費が悪い旅客機だったのだった。ニューヨーク・ロンドン間の運賃が2万ドル(約220万円)だったようだが、今回話題になっているブーム・「XB-1」を発展させた超音速旅客機(SST)「オーバーチュア」では、55人乗りでも5000ドルに下げるようだ。

 コンコルドが100人乗りであったのに、55人乗りにして1人当たり運賃を1/4に出来るということは、エンジンの燃費性能がどれほど優れたものであるのか考えさせられる。カーボン・ボディによる軽量化も大きいのであろう。

 1969年初飛行のコンコルドは、1970年代に就航していたにもかかわらず、たいして先端技術とは言えない面も多くあったと言えるようだ。

 ボーイング・787などでは胴体の一部を丸ごとカーボンで造るなどしており、旅客機でもカーボン使用が増えている。半世紀ほどの間に技術の進歩は目を見張るものがある。コンピューターシミュレーションによる開発も、期間を短縮しコストを低く抑えることが出来るのだろう。

 「ブーム・オーバーチュア」はマッハ2.4程度と思われ、現在実用になっている戦闘爆撃機程度の速度である。それなら熱の壁もなくチタン合金を多用する必要もない。現代の商用機では「燃費」と「コスト」は一体として最重要性能となっている。

 翼の空力性能もかなり進歩しており、コンコルド程度の速度であれば、ターボファンとカーボン・ボディによって大陸横断程度の長距離なら採算はかなり見込めるのであろう。

 いやいや、三菱・スペースジェットが予定している短距離幹線路線においても、SSTが採算をとってくる可能性は十分あると見なければならない。すると、純ターボジェットエンジンの流れに乗り遅れたYS-11の二の舞で、スペースジェットは超音速旅客機の流れにまた乗り遅れてしまうことになってしまう。

 飛行機の世界は最先端技術の世界であり、かつ、同じ最先端技術であるプログラムの世界のようには、すぐには変更できないため、よほどの「先見の明」が必要なのだ。

 三菱・スペースジェットが活躍するであろう、半世紀先の世界を見通せねばならない。すると、そこでビジネスジェットまでが超音速となっていることを考えると、案外、短距離旅客機の世界も超音速の世界になっている可能性が高い。

 あとは、いつの時代でも「旅客数の見積もり」が当たるかどうかだ。これにも「先見の明」が必要である。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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