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三菱自動車、激動する自動車市場に日産・ルノーとの統合強化で挑む
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三菱自動車工業は3月1日、日産とルノーの統合拡大に向けた購買、研究・開発、生産・物流の機能統合の強化、品質管理・アフターサービス機能統合及び双方向のコネクティッドカーなどの事業開発部門の機能統合に向けたプロジェクトに2018年4月から参画し、2019年から本格的に機能統合に加わると発表した。
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3社の統合拡大により、グループの総販売台数は2017年の1,060万台から統合拡大計画最終年度の2022年には1,400万台へ伸びる見通しである。この統合により、三菱自動車は将来グループとしての規模の利益を享受できるとともに、1971年、最初に電気自動車を手掛けて以来50年近く電動車両の可能性を追求してきたプラグインハイブリッドカー(PHEV)などの技術で事業開発に貢献していくことが期待される。
三菱自動車は2016年4月に燃費試験の不正が発覚して経営危機に陥り、2016年10月に日産が34%の株式を取得、購買機能などの提携強化でV字回復軌道にある。
激変する自動車市場に、さらに踏み込んだ日産、ルノーとの3社機能統合の強化により挑もうとする三菱自動車の動きを見てみよう。
■前期(2017年3月期)実績
売上高は1兆9,066億円(前年比84%)、営業利益は前年よりも1,333億円減の51億円(同4%)であった。
営業利益大幅減の主な要因としては、海外比率84%の中、前年に比較して急激な円高(1ドル121円->109円、1ユーロ133円->119円)による為替差損775億円、燃費不正問題による売上減などの影響360億円、燃費不正による市場措置費用322億円の計上などによるものである。
■今期(4-12月期)実績と今期(2018年3月期)見通し
4-12月期売上高は1兆5,181億円(同113%)、営業利益は前年の232億円の赤字から878億円改善の646億円の黒字となった。
営業利益大幅改善の要因としては、市場措置費用など480億円が今期発生せず、コスト削減270億円、増販効果189億円、前年より円安(1ドル112円、1ユーロ129円)による為替差益142億円などによる増益1,081億円に対し、販売費増158億円、研究開発費増45億円の減益203億円によるものである。
今期見通しは、4-12月期の好調な実績を受けて当初見通しよりも上方修正し売上高2兆1,000億円(同110%)、営業利益950億円(同1,863%)を見込んでいる。
■中期計画(2018年3月期~2020年3月期)による推進戦略
中期計画の最終年度(2020年3月期)を統合拡大に向けての基盤固めとして、売上高2兆5千億円、営業利益1,500億円を目指し、次の戦略を推進する。
1.商品陣を刷新し、主要5機種への集中強化
4WD(四輪駆動)を刷新し、PHEVを強化して主要5機種の販売比率を前期の60%から最終年度70%へ高める。
2.設備投資、研究開発費の大幅増加による戦略投資
前期の設備投資581億円(売上高比3.0%)、研究開発費890億円(同4.7%)を最終年度の設備投資1,370億円(同5.5%)、研究開発費1,330億円(同5.3%)へ高める。
3.地域戦略の推進で前期92万6千台販売台数を最終年度130万台(対前期比140%)へ
中国市場ではディーラー数を400社に倍増し、8万8千台から22万台(同224%)へ増やす。
4.コスト最適化により1台当たり生産コストを年率1.3%削減
5.各社とのシナジーを高め、電動化戦略を強化
日産との提携強化でV字回復し、3社連合の統合強化でさらなる飛躍を目指す三菱自動車の動きから目が離せない。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)
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