紙おむつをトイレットペーパーに再生したユニ・チャーム、姿勢・技術力は評価に値する

2025年3月19日 09:38

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ユニ・チャームと住友不動産の協業フロー(画像: ユニ・チャームの発表資料より)

ユニ・チャームと住友不動産の協業フロー(画像: ユニ・チャームの発表資料より)[写真拡大]

 2月末、ユニ・チャーム(8113、東証プライム市場)から『ユニ・チャームと住友不動産、使用済み紙パンツ(紙おむつ)の利活用を推進 「再生パルプ」活用のトイレットペーパーを大規模オフィスビルに導入』と題するリリースが配信された。

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 紙おむつ市場については2022年段階で、こんな調査結果が明らかにされている。ベビー用:前年比0.4%増1441億円、大人用4.2%増1150億円。そして、「今後は高齢化社会の進展で、介護用の大人向け紙おむつが増加傾向を強める」と予想されている。

 事実、王子製紙の様にベビー用の生産停止/大人用に集中という動きも出ている。大人用紙おむつでは、ユニ・チャームがトップメーカー。前々から「トップの任を果たすべく、再活用を」という姿勢を打ち出していた。

 リリースに接し、3つの疑問をユニ・チャームに問い合わせた。

 (I)使用済み紙おむつの汚れに伴う、除菌等の処理にはどう対応するのか。

 (II)トイレットペーパーに再生するためには、相応量の使用済み紙おむつの確保が必要と認識するが、どう取り組むのか。

 (III)販売方法は。利活用(再生品)と銘打つのか。

 三問とも、直接的な答えは返ってこなかった。「非公開」とした。

 がについては2015年に紙おむつ(紙パンツ)の再資源化に取り組み始め、19年に「オゾンを用いた滅菌技術で、未使用パルプと同等品質の再生パルプの生成に成功した」と明らかにしていたので「オゾンの活用」であることは認識できた。オゾン処理の特徴は、「低濃度・短時間で殺菌処理が可能」。

 しかしは「回収」とだけ、は「当社の既存の多岐なルートで」に応えは止まった。

 勿論、だからといってユニ・チャームの取組姿勢に「?」を呈するものではない。大いに評価できる。また「再生トイレットペーパー」の発信に際し、住友不動産との提携は実に効果的だ。

 住友不動産は「DB(日本政策投資銀行が不動産の“経済性”に留まらない“環境・社会への配慮”における性能・取り組みを評価する制度)グリーンビルディング認証」を最多取得している。具体的には2月から東京・三田にある建物に導入された。拡がりを期待したい。

 本稿作成中のユニ・チャームの株価は1200円台トビ台。値下がり圏にある。予想税引き後配当利回りは1.2%。じっくり構えるのが賢明か・・・。過去9年余りの修正済み株価パフォーマンスは48%水準。IFIS目標平均株価は算出者の7人中4人が強気の1416円。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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