デンソーとNEC、AIやIoT活用の高度運転支援・自動運転分野で協業

2017年1月4日 17:05

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記事提供元:エコノミックニュース

デンソーは今年、矢継ぎ早に新しい施策を打ち出す。年末になって東芝との間で、人間と同等以上の認識処理ができるAI技術の共同開発で合意したと発表

デンソーは今年、矢継ぎ早に新しい施策を打ち出す。年末になって東芝との間で、人間と同等以上の認識処理ができるAI技術の共同開発で合意したと発表[写真拡大]

 デンソーと日本電機「NEC」が包括的な提携関係を結ぶ。12月26日に発表した。目的はクルマの自動運転など先進運転支援システムの実現に向け、人工知能(AI)を活用した車載部品を共同開発することにある。自動運転や通信機能がついたクルマの開発では自動車とIT(情報技術)業界連携が世界的に進んでいる。デンソーは東芝やソニーなども含めて連合を組み、グローバルな技術開発競争に備える。

 センサーなどIT機器をクルマに搭載するには、耐震性や耐熱性を高める技術が必要だ。ここで強みを持つデンソーが、NECと協働する。自動車部品メーカーの強みとIT企業連携が不可欠になっている。

 車載ソフトの開発やハッキングなどからクルマを守るセキュリティ対策、自動運転を実現する中核技術開発全般で、デンソーがIT企業と連携するというわけだ。具体的にはNECグループが開発要員をデンソーに派遣して開発体制を構築するという。

 自動運転や先進運転支援の実現には、車載カメラで撮影した画像やセンサーで捉えた情報をAIが素早く分析し、どこに歩行者や障害物があるかを判断し、どちらの方向に進むべきか、あるいは止まるべきかなどを判断する技術が必要だ。今回の提携ではデンソーがNECが持っているAIやソフト開発力を活用する。AIによってが危険を察知し、ステアリングやブレーキ、スロットルを制御する究極の自動運転を共同開発する。

 車載IT機器をハッキングから守る情報セキュリティ技術も協働開発する。通信機能が付く「コネクテッドカー」の普及で、サイバー攻撃を受けるリスクが高まる。そのための対応技術開発が必要だからだ。デンソーはあらゆるモノがネットにつながる「IoT」で全世界の工場をつなぐ取り組みを進めており、ここでも両社は協力するという。

 デンソーの売上高は約4兆5000億円で、世界最大手の独ボッシュや独コンチネンタルと並ぶ「メガサプライヤー」だ。自動運転などを先端技術開発で自動車メーカーがIT企業と組む動きが活発化しているが、IT企業としても部品メーカーの協力なしに新技術の開発は難しい。メガサプライヤー同士も自動運転など次世代技術の開発で激しく競争している。

 デンソーは今年、東芝との間で、人間と同等以上の認識処理ができるAI技術の共同開発で合意。画像センサーでは世界首位のソニーとも連携する。高性能センサーを車に搭載できるよう耐熱性や耐震性を向上させ、夜間の歩行者も撮影できるようにした。国内電機大手などと幅広く組むことで競争力を上げる戦略を進めている。(編集担当:吉田恒)

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