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1年越しのサナエノミクス2.0にかかる期待
●高市新総裁で円安・株高
4日に実施された自民党総裁選で高市早苗氏が勝利したことを受けて、週明け6日の市場では、為替相場が1ドル=150円を突破し、日経平均も一時2000円超上昇、終値では4万7000円の大台を初めて突破した。
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2024年の自民党総裁選でも、積極財政を掲げる高市氏就任への期待から、第1回投票時点でトップに立った時点では円安・株高が進んだが、その後石破茂氏に決選投票で逆転された。当時の週明けの市場は反動で、大幅な円高・株安となった。
大胆な危機管理投資と成長投資を目指す“サナエノミクス2.0”への期待が高まる。
●サナエノミクス2.0の中身と恩恵を受ける企業
高市氏は、総裁選中の演説で財政健全化を重視する一方で、成長投資により強い経済を実現すると語っている。プライマリーバランス主義ではなく、成長による借金の抑制を目指す。
「日本列島を、強く豊かに。」を掲げ、食料・医療・エネルギーといった生活基盤の安定化を目指し、農業やエネルギーの国内供給、半導体やAI分野への国家支援などを強化する。
米国の関税の影響が出た場合には、「ゼロゼロ融資」などの産業支援に加え、自動車税の2年間停止などにも講演で言及している。
診療報酬・介護報酬の見直しや、農地の大規模化などによる食糧安全保障も、注目される。
10月6日の東京市場では、防衛関連の三菱重工やIHI、円安でNECや安川電機、日銀利上げの後退の思惑から三井不動産などの不動産株の大幅上昇も目立った。
●早期に日経平均5万円も!?円安もどこまで?
日経平均は、史上初の5万円突破も視野に入っている。高市氏は、昨年の総裁選から金融緩和継続を主張しており、日銀利上げを「アホやと思う」と発言するなど、円安傾向が続く可能性が高い。
今回の総裁選ではこれらの主張は封印しており、利上げについても慎重な発言をすると見られる。
まだ首相就任前であり、ここまでの上昇は期待が先行し過ぎているとの声もある。
自民・公明両党は衆参両院で過半数割れの状況に変わりなく、厳しい政権運営が予想される。今後の連立拡大があるかも注目されており、高市氏は首相指名選挙前の連立合意を目指すとしていたが、「そういうことができたらうれしい」と述べるにとどめている。
株高になるとはいえ、円安が続くことは物価高を招き、150円~155円の間で口先介入があるかもしれない。米国の政府機関閉鎖の動向も大きく左右する。
上昇が急激な分、利益確定売りにも注意が必要だ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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