超硬耐摩耗工具首位:冨士ダイスは、「中国の次世代自動車関連製品需要は本物、躊躇なく進む」と言い切った

2025年7月20日 16:46

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 冨士ダイス(6167、東証プライム市場)。ものづくりに不可欠な、金型や工具など超硬耐摩耗工具でシェア3割超。斯界首位。製造業3000社余と取引。

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 1949年6月、創業者の故新庄鷹義氏により耐摩耗工具の加工事業で産声をあげた。冨士ダイスの社名の由来は、創業者が「世界でもまれな美しさと日本一の標高を誇る富士山にあやかった」とし、かつ「当社は常に未完成。常に完成を目指して精進し続ける会社でありたい」という思いから「点なし“冨士”とした」と語り継がれている。

 そんな冨士ダイスの春田義和社長に、投資雑誌のZoomIR企画で取材の機会を得た。

 独立系金融情報発信会社:フィスコは今年1月に冨士ダイスを、こう記している。

 「創業以来の黒字経営を続けており・・・・自己資本比率は80.2%(前2025年3月期、中間期末)と高い・・・」。

 自己資本比率の充実は事業展開を勘案する時、確かに魅力と言えよう。また黒字経営は続いている。しかしここ数期間の収益動向はこんな具合。

 2023年3月期の「1.8%増収、3.3%営業増益、22円配継続」から前25年3月期まで「2.9%減収、29.7%営業減益、10円増配32円配」「0.5%減収、39.7%営業減益、8円増配40円配」。そして今3月期は「6.5%の増収(176億7000万円)、22.9%増益(6億円)、40円配」計画で立ち上がった。

 が、四季報は「超硬製金型の自動車向・半導体向け軟調」としている点は気掛かり。このあたりを春田社長は「材料費負担の上昇は吸収できる体制になった。うちの特徴というか売りでもあるメーカーとの交渉で、金型等⇔モノづくり提案していくスタイルが反映されていると言える」と説明した。

 また冨士ダイスは至27年3月期の中計を掲げている。「売上高200億円(24年3月期比19.9%増)、営業利益20億円(2.4倍)」。中計達成のポイントについては「不可能な数字は立てない。強いて言えばタカ(売上)の積み上げが肝要」とした。

 本稿作成中の株価は700円台半ば。予想税引き後配当利回り4.25%水準。4月安値:611円から2月高値:838円まで戻る過程。資本力背景の「増配」政策。過去9年余の修正済み株価パフォーマンス33%を勘案すると投資対象として魅力ありとみるが・・・また時価予想PRB0.7倍余(春田社長は、ROEの高まりで対応していくと明言している)も材料視されそうだ・・・

 私の最後の質問に、味わい深い答えが返ってきた。「中国やインド市場の深耕を謳っているが、トランプ大統領の姿勢に懸念はないか」。対して「NOとは言い切れない。がトランプも永遠にその座に居るわけではない。そしてなりより、中国の次世代自動車関連製品へのニーズは本物だ」。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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