収益転換期を迎えた、人間ドック・健診予約:マーソの理由

2025年7月19日 22:10

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 マーソ(5619、東証グロース市場)。人間ドックや健康診断の予約プラットフォーム「マーソ.jp」を展開している。

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 三和システムの医療事業部門が分社化され2015年に設立。23年12月21日に上場。公開価格2260円に対し、初値は2079円。小さく生まれた。果たして大きく育つのか・・・。今回、「大きく育つ転換期を迎えたな」と認識した。故に覗き込んでみることにした。

 公開後初の決算となった22年12月期以降の収益の推移は、こんな具合。初決算こそ「29.4%増収、12.7%営業増益」も、23年12月期「19.6%減収、37.8%営業減益」/24年12月期「26.4%減収、25%営業減益」。そして今12月期も「売上高変わらずの13億3300万円、76・6%営業減益(3600万円)」計画で立ち上がった。

 が会社四季報は業績欄の見出しこそ【費用増】も、独自予想で「売上高16億5000万円、営業利益2億5000万円」と増収/営業増益。その理由は材料欄の見出し【拡大】に求められる。

 マーソは今年4月から、健康診断の法人予約を開始した。健康診断市場の約6割は、法人で占められている。

 マーソはこれまで個人の健康診断予約を取り扱ってきた。が協業関係のイーウェルが網羅している健康保険組合・健診機関を活用する。前者は90超、後者は500以上。マーソは一昨年11月に業務提携の関係にあった、東急不動産(3289、東証プライム市場)グループのイ―ウェルと資本業務提携に踏み込んだ。

 周知の通り、企業・健保組合は年に1回、従業員・その家族の健康診断(特定健診)の実施が義務付けられている。イ―ウェルは2004年に「健診事務代行サービス」の提供を開始、諸々の企業・健保組合に対し支援事業を展開してきた。そんなイ―ウェルの培ってきた基盤を活用し、大きな市場に乗り出すというわけだ。

 前記のようなここ数期間のマーソの収益低迷は、新型コロナウィルスに対する予防ワクチンの接種剥落が主因。こうした状況から浮上するための施策が「健診市場の大半を占める法人・健保対応の健康診断予約事業」という次第。

 今後の株価動向は、四季報独自予想の進捗具合が一つのポイントになろう。

 アーソは中計を発表していないが、今後の市場動向に関しては前向きな姿勢を示している。

 「2030年の国民医療費は約60兆円。うち人間ドック・健康診断の市場は9000億円」としている点に顕著。

 本稿作成中の時価は900円台終盤。5月の安値863円から6月高値1280円まで買われたあとの揉み合い場面。ただ時価の予想PER139倍強はいささか気になる・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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