確かに資金は投じている 伊藤園「お~いお茶」の海外展開は本気度「大」

2025年3月24日 16:37

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2024年4月に大谷翔平選手とグローバル契約を締結(画像: 伊藤園の発表資料より)

2024年4月に大谷翔平選手とグローバル契約を締結(画像: 伊藤園の発表資料より)[写真拡大]

 伊藤園(2593、東証プライム市場)。米大リーガー:ドジャースの大谷翔平選手が主力商品「お~い お茶」の、グローバルアンバサダーを務めている。そのキャッチコピーをもじり私は「僕のそばにはいつも、(本物はお茶)お酒がある」と言い、家内や子供達から顰蹙をかっている。

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 「大谷に払っている契約金が、伊藤園の利益圧縮に・・・」と、非国民?的な発言をする仲間もいる。後で詳細は述べるが伊藤園は常に進取の気性に富み、業界を牽引してきた。「海外戦略」もまさにそうであり、中計などにも謳われているが「超本気」なのである。

 故本庄正則氏により産み落とされた伊藤園(お~い お茶)を有名にしたのは、新国劇の大御所:島田正吾氏を擁したTVコマーシャル。製茶業界にあっては、初のTVを使った広告だった。

 また伊藤園に通じたアナリスト達は、こう口を揃える。「茶は量り売りの商品だった。その既成概念を打ち破り茶の世界を拡げたのは、(1972年の)真空パッケージ売りの茶の量産化に成功したからだ」。

 そんな伊藤園の昨今の収益動向を追うと・・・2021年3月期は「7.7%減収、16.4%営業減益」だが、決算発表の直前(21年6月1日)に上方修正しての結果だ。当時、修正要因をこう発信している。

 「新型コロナウィルス感染症の収束時期は、未だ不透明であり予断を許さない状況にあるが、事業活動への影響を軽減するべくグループ全体の業務改善と総コストの削減を推進したことで予想値に対し、営業利益で約43億円/純利益は12億円上回る結果となった」。以降は増収・増益基調を維持し、今4月期も「2.8%の増収、5.9%の営業増益、2円増配44円配」計画。

 そして創業60周年:25年4月期から「お~い お茶40周年」の29年4月期に至る中計では、以下の目標を掲げている。

 *売上高: 24年4月期(4538億円)比、国内で平均年率2%/海外8%増。
 *お~い お茶: 海外に注力し、年率伸長24%以上。
 *営業利益率: 5.5%に対し、8%以上。
 *ROE:8.9を10%以上に。

 本稿作成中の時価は3100円台入り口。予想税引き後配当利回りは1.2%弱。年初来安値(3月)2932円のゾーン内。がIFIS目標平均株価は3600円。さて、どう対応するか・・・。「待つのも投資」という。海外の浸透具合/中計の進捗状況/IFIS目標平均株価への歩み具合etc、「待ってみたい」対象としての魅力も少なくないのではないだろうか・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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