介護業界の倒産が指摘されるなか、シダーに見る急回復の何故

2024年12月29日 15:42

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 東京商工リサーチによると、2024年1月から11月1日までの介護業者の倒産件数は、144件にのぼったという。22年の年間143件を上回り、介護保険制度が始まった2000年以降、過去最多だという。訪問介護業者が最も多く71件、次いでデイサービスなどの「通所・短期入所」が48件、「有料老人ホーム」が11件という状況。

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 高齢化社会⇔要介護員数の増加が今後も進むと指摘される中、大きな課題といえる。需要はあっても介護スタッフ不足という悪循環になっている中、介護用品や光熱費などの高騰が追い打ちをかけているとされる。

 ただこうした背景・事情を画一的に捉え、介護業者を見る眼鏡にしてしまうのも如何かと思う・・・

 シダー(2435、東証スタンダード市場)。シダーも2022年3月期、23年3月期と最終赤字に陥った。が前3月期は「5.2%増収、463.8%営業増益、2億300万円最終益計上、4円復配」と立ち直り、今期も通期計画こそ据え置きも、11月7日時点で中間期を「前年同期比3.7%増収(89億2300万円)、32.5%営業増益(5億6400万円)、8.4%最終増益(2億4500万円)」に上方修正した。

 シダーの2本柱は、「デイサービス」「有料老人ホーム」。

 創業時の経緯からして、デイサービスは言わば本丸。2000年に前社長・会長(現顧問)の山崎嘉忠氏と現社長の座小田孝案氏が、起業した。二人とも社会医療法人池友会系列の病院で、リハビリ職員として勤務していた。言わばデイサービスに通じた2人組。

設立当初からデイサービスに重点を置いていた。「理学療法士/作業療法士」の有資格者を整備し「参加者にそくした最適なトレーニングメニュー」、かつ「トレーニングマシーンの整備」で成長してきた。それが何故、前記の通り2期連続の最終赤字に・・・。

多くの有料老人ホームや入居型介護施設には、通所型デイサービスが併設されているシダーの場合も然り。介護施設の入居者が、外部からの通所者が利用する。

コロナ禍の深刻さが広がる中で、介護施設としては「通所者が持ち込みかねないコロナウイルスが施設入居者に拡散する懸念」からデイサービス施設を閉鎖する動きが起こった。

シダーの24年3月期の決算書類には、回復の背景をこう説明している。

「デイサービス事業が、コロナ前の利用者数・利用件数に戻りつつあることから増収となった」。

「有料老人ホーム事業も一昨年新規開設した施設が満床となり、増収となった」。

 本稿作成中の株価は200円台入り口。予想PER9倍弱水準は収益の流れを反映しているとは言い難い。が2万円余の資金で予想税引き後配当利回り2%余水準を享受するのも株式投資かと・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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