中小型優良株の徹底調査が特性のいちよし証券の、PBRは1倍割れ

2024年8月13日 09:27

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 証券会社の選び方として、各社の特性に照準を合わせるのも一法と考える。収益動向は概ね相場の在り様に左右される。

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 今回、「特性」という観点から覗き込むいちよし証券(8624、東証プライム)なども同様。2023年3月期の「14.9%減収、64.9%営業減益、34円配」に対し前3月期は、「12.2%増収(188億3700万円)、140.4%営業増益(28億300万円)、34円配」。

 そして今3月期は通例通り「相場の在り様で振れが予想されるため」と、計画なしにスタート。第1四半期は「前年同期比9.1%増収、41.7%営業増益」も、第2四半期入り後の大荒れ相場を勘案するとここからの動向には懸念が払拭できない・・・

 そんないちよし証券を「個人投資家」に重宝な特性を持った証券会社と捉えるのは、グループ企業のいちよし証券経済研究所の存在に起因する。

 「約410社のユニバース(投資対象とする)銘柄」の業績等の情報を、10余名のアナリストでフォローしている。年間「個別取材/決算説明会参加/経営者とのミーティング/工場や店舗の見学会などを」通して、約3000本の「企業・業界分析/トピックレポート」をいちよし証券の口座で取引を行っているメンバーに配信している。

 7月17日現在でまとめた408社の企業収益予想は、こんな具合。

 「2024年度は23年度に比べ8.0%の増収、17.9%の営業増益、13.9%の経常増益。25年度は7.2%の増収、15.8%の営業増益、15.5%の経常増益予想」。

 興味深いのは、調査対象のポイント。

 (I)時価総額100~2000億円が中心。通常1000億円以下の時価総額企業は「小型株」/1000億円から1兆円は「中堅株」/1兆円以上は「大型株」とされる。いわゆる中堅・中小企業を調査対象としていることを意味する。

 (II)優れた技術力、コスト競争力を持ち成長が期待できる企業。

 (III)「企業が属する市場が成長を続けており、比較的大きな市場規模が期待されること」「あると便利、ないと困るサービスや商品・製品を提供できる」企業。

 (IV)業界NO1、Only1であるか近い将来そうなることが期待される企業。

 (V)構造改革で再成長期に入った企業。

 (VI)経営者の資質が高い企業。

 そんな特性が活かされているいちよし証券の、本稿作成中の時価は670円水準。年初来高値886円から同安値605円まで下がり、小戻し気味。全体の相場動向にもよろうが時価の予想PBR0.78倍の修正は材料視されると思うが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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