医療機関のDX化を牽引する:ファインデックスの収益は、角度を伴う右肩上り

2024年7月27日 10:06

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 最近よく耳にする言葉に「医療DX」がある。要は「医療現場の合理化/効率化で・・・」ということであろう。斯界に明るい筋からはこう説明された。

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 「例えば電子カルテのデータを活用し、紙のカルテでは出来なかった新しい医療体制を作る。そのためには、AIやIT技術は有効な手立てになる」。

 2022年10月、政府は内閣に「医療DX推進本部」を設置した。基本的な考え方を、こう説明した。

 「国民の更なる健康増進」「切れ目なく質の高い医療等の効率的な提供」「医療機関等の業務効率化」「システム人材等の有効活用」「医療情報の2次利用の環境整備」。至極ごもっとも、である。

 が何故、医療DX化が不可欠なのかへの言及に欠けている。私なら、こう付け加える。

 「人口構成に占める高齢化率は、今後更に高まる。2050年には37.7%という試算もある。現行の社会保障制度の持続可能化には、健康寿命の延伸が不可欠。そのためには延伸をバックアップする医療体制の緻密化に繋がる、DX化が必要」

 「医療従事者の働き方改革が不可欠。指摘されている医療従事者の疲弊度は、健康寿命延伸と反比例する」

 医療DXを促す企業が株式市場の注目を集めるのは、当然。

 ファインデックス(東証プライム)なども、代表的な1社。大病院を中心に医療用データ管理システムの提供を展開している。2021年12月期から前23年12月期の3期間を見ると「平均増収率10%、同営業増益率34%」。配当も毎期増配で「8.5円配が13円配」。

 そして今12月期も「11.4%増収(57億8200万円)、5.2%営業増益(15億1400万円)、3.6%最終増益(10億9700万円、連続最高益更新)、2円増配15円配」計画で立ち上がり、第1四半期で中間期予想に対し既に「74%、114%、122%」の達成率。期中の上方修正に期待を抱かせる展開を示している。「京都大学医学部と共同開発した生成AI活用の、医療文書作成支援の製品化」といった、事案(好材料)も明らかにしている。

 本稿作成中の時価は1000円トビ台、予想税引き後配当利回り1.12%。昨年4月26日の安値988円から再度右肩上がりに転じた株価は、3月28日に1289円(年初来高値)まで買い進まれ目下150円水準調整している。

 ちなみに耳鼻咽喉科のDXにも着手。地方自治体の合理化・効率化とも取り組んでいる。広範なDX化と取り組む存在として、中期構えの対応が肝要か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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