M&Aも駆使、業容拡大・収益幸伸のクオリスHDは社内分社で生まれた

2024年5月6日 08:38

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 QLSホールディングス(名証ネクスト、クオリスHD)。予備校(東京プロ市場)を経て昨2023年6月26日、公開公募価格650円に対し800円の初値で名証に登壇した。創業者社長の山田武史氏は「就職氷河期」組。が結果とし、良き企業に飛び込んだ。

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 山田氏がインタビューで、こう語っている。「正直、自分が求めている雰囲気と違っていた。辞めようかというタイミングで、社内で新規事業が公募された。社内分社。応募した。福祉・介護関連企業の立ち上げだった。社長としてビルの一角で事業を立ち上げた。立候補して良かったと、つくづく思っている。その後に退社し(2005年に)クオリスを立ち上げたのも、その時の気づきや経験があったからだ」。

 介護事業から始まった歩みを始めたクオリスHDは、その業態を時の経過とともに拡充していった。グループホーム/介護付有料老人ホーム/住宅型有料老人ホーム/訪問介護/居宅介護支援/放課後等デイサービス。

 また認可保育園を展開。昨年4月には大阪市で企業としては初の、公立保育園の民間委託機関に選定されている。

 更にはここにきてクオリスHDの顔として浮上してきているのが障がい者グループホーム。昨年初冬、傘下の1社:エルサーブが沖縄でグループホーム(22拠点)を運営していたAKから障がい者グループホーム事業を譲受した。

 AKは11月に破産手続きの開始が決定。会社の存続が可能と判断。代理人を介し事業の譲受先を探す中で、クオリスHDに打診が行われた。自社での展開にも着手したタイミングでもあり、引き受けることにした。

 介護業界では対象員数の縛りなど採算的観点から、グループホームを手掛ける業者は少ない。その意味で規模を伴う「障がい者」グループホームの着手は、興味深い。

 クオリスHDでは自動車業界向けなどに、人材派遣業も手掛けている。介護業界もその範疇。例えば「有料老人ホームなどの介護サービスの拠点増に合わせ、北陸での人材派遣の強化」といった方針も明らかにしている。

 前記した沖縄:AKの例に象徴的だが、業容拡大に対しM&A戦略にも積極的姿勢を見せている。AKに先立つ8月には「和み(介護事業)」「ふれあいタウン(介護・福祉事業)」を子会社化している。

 収益動向も順調。上場後初決算となる今3月期も「18.5%増収(76億4900万円)、2.1%営業増益(3億4600万円)、4.9%最終増益(2億4000万円)」計画に対し、第3四半期時点の計画達成比は「78%、73%、66%」。

 本稿作成中の株価は1000円台。昨年9月の685円で底を打ち上昇、上場来高値。IPO人気のふるい落としを経て、地相場入りしたとみるがどうか・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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