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綜合リフォーム会社:ニッソウが敢えて東京プロ市場を経由した理由
ニッソウ(東証グロース/名証セントレックス)。中小不動産から賃貸用住居・オフィスの原状回復工事を受託、施行する事業を展開。2020年3月に公開公募価格を950円下回る2800円で生まれた。そんなニッソウだが、持ち味を活かした事業拡大を着々と進めている。
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元々はピアニストだったとも伝えられる創業者で現社長の前田浩氏が何故、斯界に足を踏み入れたのかは知らない。が1987年に業を興した際には自ら、地域密着型の中小不動産に「住宅・オフィスのリフォームで、是非ご協力を」とチラシをまいて歩いたという。
私がニッソウに関心を抱いたキッカケは、前田氏が後に「足を踏み込んだニッチ市場で生き残り、勝ち残っていくには事業の拡充と並行して上場への道を歩むことが肝要だと考えた」としているが、2018年にTOKYO PRO Marketに上場した時だった。
東京プロ市場の投資参加者は、全員プロ(特定投資家/金融機関・国・日銀当)。年商や純資産などの条件は通常の上場に対し緩い。いわば通常市場に上場するための「予備校」。特定投資家に買われる=事業性・将来性を評価されると受け取れるからだ。ニッソウは計画通り予備校を経て、名証へ次いで東証へ上場を果たしている。
原状回復工事・空室対策リノベーション・ハウスクリーニングなどが主体だが、案件によっては実施する不動産会社にとっても魅力薄の受託も少なくない。が営業力に欠ける不動産会社には、ニッソウはかっこうの営業部隊。受託に際して初期費用などはない。売上高の5-10%をロイヤリティとして支払うだけ。
かれこれ30年余の間に「リフォーム施行ネットワーク(協力不動産会社)」は、2000社余に達している。年間ベースで1万件超の実績を残すに至っている。
前2023年7月期に連結決算に移行した。「売上高:41億6600万円、営業利益:1億4800万円、最終利益:6900万円」。そして今7月期計画は「29.2%の増収(53億8200万円)、65.9%の営業増益(2億4500万円)、112.2%の最終増益(1億4700万円)」計画。
昨年12月30日に完全子会社化した総合リフォーム事業を手掛ける:ささき(23年5月期、売上高3億425万円)の効果が、フル寄与する。
矢野経済研究所によると2022年には住宅関連のリフォーム市場は、7兆2877億円。これが2030年には7兆7000億円と、着実な右肩上がりの動向と見込んでいる。
ニッソウではささきのM&Aで拡充・効率化を図りつつ、「26年7月期末までに協力不動産会社を4034社に増加させる(23年7月末2781社)」方針を明らかにしている。
本稿作成中の時価は2500円台半ば。1月末の昨年来高値3000円の調整場面。上場初値をまずは上回った・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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