米デュポンの防護服販売主:アゼアスの収益動向と世の中の相関関係

2023年10月21日 08:38

印刷

 いささか「ええかっこしい」が過ぎるかもしれないが・・・、今年のIPO企業も100社に達すると予想されている。2021年が136社、昨年は111社。株式市場に次々と新顔が登場してくる。あとどのくらい物書き稼業を続けられるかは?だが、こうも新顔が出てきては「ついていけないな」とある種の焦燥感を覚える。

【こちらも】和服の日本和装は、インバウンド人気で盛り上がるか!?

 そんな思いを痛感したキッカケは、「コロナ9期罹患者増」云々を伝えるTVニュースだった。コロナパンデミックの折りに患者に対応する医師・看護師は、目元だけが開いた防護服を身に着けていた。当時の様子がニュースの映像として流されていたのを見て「どんな企業が関わっているのか」と思い、「防護服を扱う上場企業」で検索をした。

 アゼアス(東証スタンダード)が目に止まった。全く知らない会社だった。四季報を繰って初めて「米デュポン製の防護服販売が主力」と知った。2010年4月、既に10数年前に上場している。一般的に防護服は、「酸アルカリ成分や化学薬品など危険物質から人を守る」と定義される。デュポン製のタイベックスーツは加えて、「放射性物質を含む粉塵などが直接体に触れないようにするための防護服」という代物。

 アゼアスではこのほか自社製の畳資材や、裏地などのアパレル資材を扱っているという。

 初めて知った企業。「デュポン」の名前に惹かれ、収益動向や株価動向が気になった。

 2021年4月期は「2.7%増収、70.3%営業増益、96.4%最終増益」。決算資料には「タイベックスーツ」の牽引が読み取れる。が翌22年4月期は「6.5%減収、51.2%営業減益、57.2%最終減益、10円減配20円配」。23年4月期は4.9%減収も「37.2%営業増益、52.7%最終増益、2円増配22円配」。鳥インフルエンザが過去最大を更新し防疫作業に対する防護服・保護具が、牽引した。

 そして今4月期の計画は「4.7%増収(95億700万円)、1.0%営業増益(5億3600万円)、5.3%最終減益(3億8500万円)、1円増配23円配」。防護服需要が収益に与える影響が窺える。

 本稿作成中の時価は600円台半ばから終盤。予想税引き後配当利回り2.7%水準。1月の年初来安値617円に対し、4月の年初来高値は718円。株価動向の値幅は限定的。ちなみに2010年4月の上場初値は公開価格同様の470円。過去10年余の修正値ベースの株価パフォーマンスは約67%。「PBR(0.59倍)改善の動きに期待」とする声もあるようだが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事