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過去10期連続増収・営業増益:ボンドのコニシのここから、を俯瞰
コニシ(東証プライム)。「ボンド」で知られる接着剤最大手。足元の収益好調、そして至2026年3月期の中計は株式投資の対象として着目に値する。
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今期予想を含む過去3期間は2022年3月期「5.5%増収、3.1%営業増益、4円増配44円配」に続き前3月期は、「8.5%増収、1.7%営業増益、5円増配49円配」。そして今3月期計画は「4.6%増収、25.3%営業増益、5円増配54円配」。第1四半期もほぼ予想通りで通過した。
記した以前に遡っても、決してサプライズを感じさせられるような収益実績には出会えない。が前23年3月期までの10期間で「419億円の売上高、49億円の営業利益」を積み重ね、連続で過去最高の売上・営業利益という足跡を残している。
投資家にも前向きな姿勢を示している。22年3月期から今期予想の平均配当性向26%強(30%を目標として掲げている)。自社株買いも今年6月20日の取締役会で決議した「至2024年3月29日まで、上限300万株・50億円」の市場での自社株買いを、8月31日時点で「24万4600株/5億7791万円」と着実に進めている。
至2026年3月期の中計も「売上高1408億円(23年3月期比14.11%増)、営業利益97億円(30.9%増)」を掲げ、計150億円の設備投資を計画している。
コニシの事業分野は、「ボンド事業」「化成品事業(自動車・電子業界向け樹脂材料)」「工事事業」に分類される。
今回コニシを覗き込んで改めて「へ~え、幅広いな」と痛感したのは、ボンドの使途。身近な一般家庭用のコンシューマー分野や内装施工用住関連分野、工業用接着剤の産業資材分野の他にも「土木建築分野」にも及んでいた。ビル建設用シーリング剤(気密性・防音性を担保するための隙間補填剤)にも、ボンドは活用されているという。
化成品は「商社」として前期で94億8000万円の売上を計上しているが、中計では「自社開発品に注力」し、まずは「8億円の売上を目指す」と謳っている。
更に前期実績で195億円の売上を計上している土木建築分野で、「27.4%増:249億円を」と力こぶを見せている。「力こぶ」の背景を「建設後50年以上を経た橋梁が2030年には約55%となる。社会インフラの老朽化対策は不可欠」とし、「橋梁分野の補修に機を逃さず取り組む」と力説。橋梁分野の補修では過去10年間に5社のM&Aを実行しており、「M&Aには今後も手を緩めない」姿勢を公にしている。
記した一連のコニシを株式市場は評価している。本稿作成中の時価2600円台前半に対し、IFIS目標平均株価は2500円。深追いは控えて時価の予想税引き後配当利回り1.65%を味わいつつ、押し目待ちが賢明ということだろうか・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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