エネルギー商社:ミツウロコの上方修正に見て取れる、新たな電力事業者の実態

2023年5月9日 08:30

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 ミツウロコグループホールディングス(東証スタンダード。以下、ミツウロコ)。「LPガスが主力、灯油も扱う燃料商社として長い歴史(設立1926年、上場1962年)を有する」とされる。

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 だがミツウロコの業態の内実はいま、大きく変わっている。傍流から言えば「ミネラルウォーター製販」「FCでタリーズコーヒー、しゃぶしゃぶ温野菜の運営」「企業・学校・病院・ホテル・公共施設での売店やカフェテリア展開」「米国拠点のバーガーレストランチェーンのFC店7店の運営」etc。詳細は後述するが、主要事業のセクターも転換が進んでいる。

 株価はその当たりも着実に捉え、それを反映している。ミツウロコは前2022年3月期、10.4%の増収も「84.2%営業減益、43.4%最終減益」と落ち込んだ。が、今3月期は「電力卸売市場の価格高騰への徹底対応」を前提に、「12.0%増収、276.7%営業増益、41.4%最終増益」計画で立ちあがった。

 そして第3四半期開示と同時に、「36.0%増収(3400億円)、852.4%営業増益(78億円)、151.7%最終増益(48億円)、7円増配32円配」に上方修正(4月21日)。その主たる要因を「発電事業者との相対契約の割合を増加など電源調達先の分散化により価格高騰の影響を低減、販売単価の改善を実現」とした。

 対して株価は昨年11月8日の第2四半期実績(期初計画実績比進捗率:営業利益85.4%、最終利益105%)を確認後、上方修正を映す動きを開始した。昨年梅雨時の1000円割れからの切り返し基調を強め、2月16日には1415円まで買い直された。時価は100円方調整も、予想税引き後配当利回りは1.95%。

 第3四半期の決算資料には、いまのミツウロコの実態が読み取れる。LPGガス卸し主体の『エネルギー事業』は、販売量こそ(+価格転嫁)横這い:総売上高は前年同期比6.2%増の997億3100万円も営業利益は40.1%減7億5000万円にとどまった。

 対して『(小売り)電力事業』は前記の上方修正要因が寄与し、89.0%増収(1161億7900万円)/営業利益68億2700万円(4億6100万円営業損失)となった。ちなみにいま全国で2カ所の風力発電/2カ所のソーラ発電/1カ所のバイオマス発電施設が稼働している。

 また先に「亜流」と記したが『フーズ事業』は売上高44.1%増(134億6200万円)、営業利益8590.2%増(3億7300万円)となっている。

 今後の動向については24年3月期予想の出方を見るべきだろうが、株価材料として「時価PBR:0.86倍改善」を指摘する向きも少なくないが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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