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大手コンビニで存在感を示す、シノブフーズの絶品はおにぎりQ
シノブフーズ(東証スタンダード)。おにぎりや弁当など、米飯加工品の製造販売を手掛けている。大手コンビニでの販売が大半を占める。経営企画室では「有価証券報告書にも記載しているようにファミリーマートでの売り上げ比率が前々期:55.7%、前期:54.7%。今3月期も現段階で5割を上回る水準」とした。
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祖業は「志のぶ寿司(1971年)」。が、シノブフーズの今日の礎は1979年の「おにぎりQ」の開発に求められる、と言って過言ではない。周知の通りいまやスーパーやコンビニで売っているおにぎりの大方が、海苔で包まれている。おにぎり事業の進出に当たり、「たかが」と言うなかれ。シノブフーズは大きな「壁」を乗り越え差別化を果たした。
単に海苔を巻いただけのおにぎりでは、客が口にする頃には海苔の「パリッ」と感が味わえない。パリッと感を求めて、あれこれ試した結果生まれたのが「おにぎりQ」。
読者諸氏も経験がおありと思うが、買いこんできたおにぎりはなにやらフィルムに包まれている。先端部分に僅かに飛び出したパックをちぎり、引き下げて海苔と米飯の間にあるフィルムを引っ張り出す。形を整え、口に運ぶ。開発当初は「引っ張るだけのおにぎりQ」と称し、差別化を訴求した。
収益動向は2021年3月期こそコロナ禍の影響を受けた(12.9%の営業減益)が、前3月期は「7.0%増収、39.1%営業増益、365.5%最終増益、3円増配20円配」と立ち直り、今3月期も「0.7%の増収(490億円)、0.2%の営業増益(15億3000万円)、0.8%の最終増益(10億9000万円、過去最高益更新)」計画。第3四半期時点の計画比伸長率は「79%、95%、99%」と、着地の上振れを示唆している。
第3四半期の決算資料には、「家食需要を支えたスーパーの売上一巡を、コンビニのコロナ警戒緩和感に伴う需要でカバー。人件費増や原材料費・エネルギー価格上昇は、主要食材の調達法の見直しや調理加工品のアイテム数調整などで対応。その一方で大阪工場の炊飯設備入れ替えで、舎利の美味しさに努めた」などと記されている。
食品関連企業としては、当然の取り組みにも注力している。「プラスチック使用量削減のため軽量化した発泡素材容器への切り替え」「廃棄物削減のため関西・京滋・四国工場に生ごみ処理機設置」「四国工場に太陽光発電設備設置」etc。
こうした施策や「調理パン分野の拡充」「地域の有名飲食店とのコラボ弁当に注力」などを加味すると純資産上昇⇔0.55倍低PBRという観点から、投資妙味も覚える。時価は700円台入り口の高値水準、予想税引き後配当利回り2.2%強。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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