東京海上、住宅向けに保険付帯の太陽光PPAモデル提供 Looopと提携

2022年12月29日 15:52

印刷

今回の取り組みの概要イメージ図(画像:東京海上日動火災保険の発表資料より)

今回の取り組みの概要イメージ図(画像:東京海上日動火災保険の発表資料より)[写真拡大]

 東京海上日動火災保険は28日、初期投資ゼロで太陽光発電設備が設置できる太陽光PPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)モデルに保険を付帯し、住宅向けに提供する仕組みを構築したと明らかにした。仕組み構築にあたっては、再生エネルギーに特化した電力事業を手がけるLooop(ループ)と業務提携を締結。住宅購入時の導入提案は、東京海上が提携するハウスメーカーなどを通じて行うという。

【こちらも】東京海上、太陽光PPA事業者向けに保険提供 使用会社の倒産リスクも補償

 太陽光PPAモデルでは、太陽光発電設置事業者(PPA事業者)に設置場所を提供することで、初期投資ゼロで設置でき、発電した電力を自家利用または販売できる。メンテナンスもPPA事業者が担うため、設置後の管理も不要。温室効果ガス排出量ゼロ目指す脱炭素化の要請が高まる中で、工場の敷地内やホームセンターの屋根など、主に企業からの需要が高まっている。

 今回の仕組み構築の背景には、太陽光発電の導入が住宅に拡がっていない実情がある。環境省が2021年度に行った「家庭部門のCO2排出実態統計調査」(全国9,804世帯)によると、太陽光発電システムを使用している世帯は全体で6.3%。内訳は、戸建住宅11.6%、集合住宅0.2%で、戸建住宅でも太陽光発電を導入している世帯は約1割に留まるという。

 また同省が18年に実施した「太陽光発電設備の導入意向に関するアンケート調査」(全国、新築194世帯・既築525世帯)によると、太陽光発電を導入しない理由として最も多かったのが、初期投資費用の高さ。次いで、投資回収率の長さや投資回収できるかが不安など、初期投資に関する懸念があげられている。

 今回東京海上らが構築した仕組みでは、その初期投資のハードルが解消される。住宅購入時に太陽光発電設備の設置を希望する顧客に対し、Looopが初期費用ゼロで設備を提供。同時に東京海上が保険を付帯する。導入後のメンテナンスや修理はLooopが実施し、故障時の修理費用は東京海上の保険で補償する。

 Looopは、2011年創業のベンチャー企業。太陽光発電を軸に風力、地熱などの再生可能エネルギーの発電事業や発電所の建設、電力小売事業などを展開している。住宅の屋根へ太陽光発電設備を設置するサービスも手がけており、蓄電池と組合わせて電力効率を高める提案なども行っている。

 今回の取り組みでは、東京海上が提携するハウスメーカーが、設備の設置を希望する顧客をLooopにつなぐ形となる。東京海上は今後、地域の金融機関とも連携し、住宅購入・改修費用の融資を受ける顧客も取り込んでいく方針。その先にはさらに、自治体や地域の有力企業とも連携を見据えているという。(記事:三部朗・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事