新中計の初年度を早々に上方修正、A&Dホロンを覗く

2022年12月10日 09:49

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 A&Dホロンホールディングス(東証プライム。以下、A&Dホロン)は2021年4月、エイ・アンド・デイとホロンが統合し生まれた。産業用・医療用の計量・計測機器メーカー。

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 森島泰信社長は統合を「新たな第1歩」とし、その背景をこう語っている。

 「当社を取り巻く事業環境は昨今、大きく変化している。計測・計量機器事業では自動車産業関連でカーボンニュートラルに向けた対応のため、内燃機関に対する投資が先細りになると見込まれる一方で、EVに関する投資が大幅に増加している。医療・健康機器事業では新型コロナウイルス感染症の拡大を機に遠隔地治療に係る需要が増大している。半導体事業では次世代通信技術5G、あるいはIoT、さらにはデータを蓄積利用するためのAI化されたデータセンターを通じて益々の発展が見込まれている。こうした変化に対応し持続的な発展を実現するために・・・」と語っている。

 過去10期間でみても「増収・営業増益が各8期」という優良企業。前3月期の「6.8%増収(538億円)、24.8%営業増益(60億円)」に続き今期も「4.0%増収、9.2%営業増益、5円増配30円配」で立ち上がり、11月8日にそれぞれ「575億円、61億円」に上方修正した。主たる要因はサプライチェーン混乱等による売上原価増を、円安(内外売上高比率5対5)効果でカバー。

 中間期から覗くと、各セグメントはこんな状況。

 ★計測・計量器事業: 米国で主力の計量機器が好調を継続。汎用天秤特需や昨年受注のDSP(試験機及び計測・制御・シミュレーションレーション)システムの生産進行で、売上・利益が大幅増。欧州・アジア・オセアニアも伸長。日本の大型案件の若干出遅れをカバーし、前年同期比13.1%増収/77.3%営業増益。

 ★医療・健康機器事業: 国内では一般消費者向け血圧計等が牽引。欧米加では売上横這いも円安寄与で12.3%増収。だが原材料価格や米国向け輸送費上昇で3.1%営業減益。

 ★半導体事業: 半導体及びナノテクノロジー領域の検証・計測機器(旧ホロンが主に担う)が引き合い・受注ともに活発。24.4%増収、36.2%営業増益。

 過去10年間の修正値ベースの株価パフォーマンスは約3倍。本稿作成中の時価1000円トビ台の予想税引き後配当利回り2.3%強。予想PER6.8倍強、PBR0.9倍と割安。IFIS目標平均株価1500円を勘案すると、じっくり取り組める投資対象と言えようか!?

 ちなみに2025年3月期に至る中計は、「22年3月期比23.5%増収(639億円)、67.4%営業増益(92億円)」と着実な歩みを目標としている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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