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相場展望6月16日 米国株6/15の上昇は、大幅下げに対する「速度調整」 金利上昇⇒株の割高⇒株価下落シナリオの途上
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)6/13、NYダウ▲876ドル安、30,516ドル(日経新聞より抜粋)
・インフレ抑制のため米連邦制度理事会(FRB)が積極的に金融引締めし、米景気が冷え込むと警戒され、米長期金利が上昇すると、幅広い銘柄に売りが加速、年初来安値更新。
・SP500は1/3過去最高値から▲22%下落、▲20%安を超えて「弱気相場」入りした。
・FRBは6/14・15の米連邦公開市場委員会(FOMC)で+0.5%の利上げ予想。ただ、5月米消費者物価指数(CPI)が予想以上に上昇したため+0.75%以上になるとの観測も出て、金融引締め加速が米経済や企業収益を押し下げるとの警戒感が高まった。
【前回は】相場展望6月13日 米国:欧州金利上昇の余波・インフレ再燃で株下落 黒田日銀総裁で大丈夫か? 日本株支えは自社株買
2)6/14、NYダウ▲151ドル安、30,364ドル(日経新聞より抜粋)
・6/15に米連邦公開市場委員会(FOMC)結果発表を控え、積極的な米金融引締めを警戒した売りが優勢となり、連日で年初来安値を更新した。ただ、米国株は前日までに売り込まれており、会合後の相場の反応が読めず、下げ渋る場面もあった。
・インフレ加速に対応し、FRBは6/15のFOMCで通常の3倍となる+0.75%の利上げを決めるとの観測が広がっている。会合後に公表される政策金利見通しでは、7月以降の利上げペース加速が示される公算が大きい。
・利上げ加速を見越し、米長期金利は一時、前日比+0.13%高い3.49%と、2011年4月以来の高水準を付けた。債券利回りの上昇で、株価に対する相対的な割高感が意識されたのも重荷となった。NYダウの下げ幅は一時▲370ドルを超えたが、下値では押し目買いが入った。前日まで比較的値持ちが良かったディフェンシブへの売りが目立ち、P&G・コカコーラ・ディズニー・ホームデポが下げた。
3)6/15、NYダウ+303ドル高、30,668ドル(日経新聞より抜粋)
・米FRBは、6/15まで開催のFOMCで、市場の想定通り通常の3倍に当たる+0.75%の利上げを決めた。大幅な利上げがインフレ抑制につながるとの見方から買いが入った。
・「利上げ幅が+0.5%ならインフレ加速を止められない懸念があったが、+0.75%となったことで、インフレ抑制の期待につながった」との指摘があった。
・NYダウは前日までの5日間で▲2,800ドル余り下げていたので、FOMC通過で材料出尽くしとみた買いが相場を押し上げた面も大きい。
・このところ下げが目立っていたハイテクや消費関連の上昇が目立ち、マイクロソフト・セールスフォース・アップル・ナイキ・ディズニーも買われた。
・高PERのハイテクは、長期金利の低下も追い風となった。
●2.米国株:金利引上げという悪材料通過で一時反発も、金利天井感まで株価の警戒続く
1)NYダウは直近5営業日で▲2,816ドル安(▲8.5%安)と大幅下落だっただけに、FOMC決定6/15を受け、悪材料出尽くしで「もやもや感」が吹き飛び、自律反発した。
・6/7終値33,180ドル ⇒ 6/14安値30,364ドル = 下落幅▲2,816ドル
・6/15反発+303ドル上昇(+1.0%上昇)、戻り率10.8%と、物足りない上げ幅。
2)金利上昇⇒株価に割高感⇒株価下落シナリオ、金利天井感が出るまで警戒続くと予想
3)6/15の米国株反発は大幅下げの反動であり、(1)金利上昇打ち止め (2)景気後退の霧散 からの上昇ではない。急下落に対する「速度調整」とみるのが妥当と思われる。
4)金利差が逆転 ⇒ 債券市場は「景気後退」を織込み始めている「逆イールド(長短金利の逆転)」はリセッション(景気後退)の予兆とされる。
米2年債利回り 5年債 10年債 30年債 (6/15終値)
3.216% 3.386% 3.297% 3.326%
5年債利回りは、本来は10年債と30年債より低い利回りのはずが、高くなるという逆転現象が起こった点に、注目したい。2年債と10年債の利回りも指呼の間となっており、逆転が起こる可能性がある。
5)VIX恐怖指数は6/15現在29.44で、2020年3/20の66のパニック売りには達していないため、長期的下落途上にある可能性がある。SP500は昨年12/27高値4,791から6/15時点の3,789と▲20.9%下落しており、「底が見えない」状況にある。「大底」にはその前に売りのクライマックスが必要だが、まだそれには至っていない。
6)NYダウの底値予想は、1/4高値36,799から▲38.2%安の22,741ドルとみると、6/15終値からさらなる下落幅は▲7,927ドルの下げ余地があるとも試算できる。
7)大底は、金利上昇のピーク感が出る前の急落があったときで、その時点から株価は長期上昇に転じると思われる。その金利上昇の天井は、現時点では概ね政策金利が3.5%超に到達したときと仮定した。
8)FRBは金融引締めで、『景気後退』を覚悟しており、これからが本格的に米株価が織込むとみている。
●3.米FOMC結果公表6/15、「6月利上げ幅+0.75%」(フィスコ)
1)FRBは、「利上げ+0.75%」と、インフレ抑制へ28年ぶりの大幅利上げ。
・インフレは需給バランスで上昇し、広範な圧力となっている
・経済活動はQ1(1~3月)に減速後、再び加速している
・B/Sの縮小は計画通り(6~8月は▲475億ドル縮小、9月から▲950億ドル縮小)
2)パウエル議長の記者会見
・インフレとインフレ期待が予想外に上昇
・金融市場は引締め軌道を理解
・FRBは前倒しの利上げが必要だとの見解に達した
・長期金利の中立は2%台と考えている
・次回7月会合での利上げは「+0.5%」「+0.75%」で、+0.75%は一般的にならず
●4.米5月小売売上高は前月比▲0.3%減、自動車の大幅減を受け5カ月ぶり減(ブルームバーグ)
1)自動車を除けば+0.5%増加。自動車販売はガソリン高で▲3.5%減少、食料品+1.2%増。
●5.弱気相場入りの米国株、「底」まだ見えず、FRBの積極利上げに警戒感(Forbes)
●6.ヘッジファンド、猛烈ペースで米株売り、過去2日間は金融危機前夜以来(ブルームバーグ)
●7.米国債市場、FRBに利上げ強化催促、予想を上回る5月CPI上昇で(ブルームバーグ)
●8.米5月生産者物価指数(PPI)は前年比+10.8%上昇、FRBへの圧力強まる(ブルームバーグより抜粋)
1)5月上昇分のほぼ3分の2は財価格、特にエネルギーの上昇が要因。
2)変動の大きい食品とエネルギーを除くコアPPIは前月比+0.5%上昇、前年比+8.3%。
3)5月PPIは5月に大きく上昇し、経済全般の根強いインフレ圧力を浮き彫りにした。米金融当局は積極的な利上げを継続する可能性が高い。
●9.米WSJ紙、FRB高官が+0.75%の利上げを容認する可能性(フィスコ)
●10.米国は2023年に景気後退、株価は高値から▲40%下落へ=クーパーマン氏(ブルームバーグより抜粋)
1)米投資会社オメガ・アドバイザーズのクーパーマンCEOは6/14、米経済が2023年のどこかの時点でリセッション(景気後退)に陥ると見ていると述べた。原油価格もしくは米金融政策が要因になるとしている。
2)SP500 は、過去最高値から▲40%下落する可能性があるとし、昨年12月に適正水準と指摘していた4,100が、当面の高値になるとの見方を示した。
●11.ロシアvsウクライナ関連
1)中露首脳は6/15電話会談で、軍事協力拡大を協議(共同通信)
2)ロシアのガス会社は、ドイツ向け天然ガス供給を6/16から▲6割削減と発表(NHK)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)6/13、上海総合▲29安、3,255(亜州リサーチより抜粋)
・中国の新型コロナ感染再拡大が不安視される流れとなった。行動制限が緩和された首都・北京市では、新規感染者数が増加し学校再開も大半で延期され、新規感染者が確認された上海市では週末に大規模なPCR検査を実施。
・中国政府は「ゼロコロナ」政策を堅持しており、ロックダウンの不安も漂う。
・当局の景気支援策に対する期待感が持続し、下値を叩くような売りはみられない。
・今年5月の人民元建て新規融資は、政策支援の効果で4月から予想以上に急回復。
・業種別では、金融が下げを主導、不動産も安い。自動車・素材・軍事関連が上げた。
2) 6/14、上海総合+33高、3,288(亜州リサーチより抜粋)
・中国政府による経済政策の期待感が相場を支える流れとなった。
・政府は雇用やインフラ投資、産業支援、消費振興な度に向けた対策を相次ぎ発表しているほか、プラットフォーム企業や不動産デベロッパーなどに向けた産業統制も、緩和している。中国の新型コロナ感染再拡大と米国の金利高を嫌気した売りが先行したものの、下値は堅く、指数は後場後半からプラスに転じた。
・シティグループはリポートで、中国系銘柄が最悪期を通過したとの見解を示した。
・主力大型株が主導し、不動産も高いが、ハイテクは冴えず、海運・空運が売られた。
3) 6/15、上海総合+16高、3,305(亜州リサーチより抜粋)
・中国経済の回復が期待される流れとなり、3/11以来の3カ月ぶり高値水準に上昇。
・5月中国経済統計で小売売上高の減少率が大幅縮小、鉱工業生産がプラス成長に転換。
・ただ、中国の新型コロナ感染再拡大や、米国の利上げ加速が警戒され、上げ幅を縮小。
・業種別では、金融が相場を主導し、不動産が急伸。エネルギーは冴えず半導体が下落。
●2.中国消費動向の経済指標は低調続く、外出制限の打撃が浮き彫りに(NHKより抜粋)
1)消費動向を示す「小売業の売上高」は前年比▲6.7%減少、前月に比べると減少幅は縮小したものの、3カ月連続のマイナスだった。先月は最大の経済都市・上海で外出制限が続いたことや、首都・北京でも飲食店での食事禁止など、各地で厳しい感染対策が取られ消費の落込みにつながった。
2)また、工業生産は前年比+0.7%増加、2カ月ぶりにプラスに転じたものの、物流の混乱による部品の供給不足や生産の減少で伸び率はわずかにとどまった。
3)さらに、不動産の開発投資も今年1月~5月までの累計で▲4%マイナスと、主要産業である不動産も落込みが続く結果になった。
4)北京では再び感染が拡大し、地区封鎖措置が取られるなど、新型コロナへの対応が続いており中国経済が順調に回復に向かうかは不透明なままとなっている。
●3.中国国務院、地方政府に債務リスク解消を指示(ロイター)
1)中国国務院は6/13、地方政府に対し歳入の拡大・コスト削減・資産売却を通じて政府債務の管理を強化し、債務リスクを解消するよう求めた。
●4.中国の自動車販売、5月は186.2万台と前月比+57.6%増、前年同月比▲12.6%減(新華社)
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)6/13、日経平均▲836円安、26,987円(日経新聞より抜粋)
・前週末の米株式市場で米インフレの再加速への警戒から下落し、東京市場でもこの流れを受け、運用リスクを回避したい投資家の売りが幅広い銘柄に出た。日経平均は1/27(▲841円)以来の大きさとなった。
・6/10発表の5月米消費者物価指数(CPI)は前年比で+8.6%上昇し、予想+8.3%を上回り、4月実績からの上昇率が高まった。
・米インフレの再加速で、米連邦制度理事会(FRB)が秋以降も積極的な引締めを続けるとの観測が台頭し、米景気を冷やすとの懸念が株式市場の重荷になった。
・東京市場では機械・電機・自動車といった景気敏感株の下げが目立ち、円相場も1998年以来の135円台前半を付けたが、景気減速への懸念が強まる中で、輸出関連の支えにはならなかった。ソフトバンクG・エムスリー・クボタが大幅安、関西電は上昇。
2)6/14、日経平均▲357円安、26,629円(日経新聞より抜粋)
・6/14・15の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に米連邦制度理事会(FRB)が+0.75%の利上げに踏み切るとの観測が浮上し、前日の米株式相場が大きく下落した流れで日本株にも売りが優勢となり、一時▲600円超下落した。
・FOMC前で様子見の投資家が多い中、米株価指数先物が上昇したのを受け、売り方の買い戻しが入り、大引け前に下げ幅を縮小する展開となった。
・金融や海運の上昇が目立ち、東エレク・ソフトバンクG・第一三共が下落した。
3)6/15、日経平均▲303円安、26,326円(日経新聞より抜粋)
・米FOMCの結果公表を控えて警戒感が強まり、運用リスクを避ける動きが優勢。
・米FRBは足元の物価上昇の勢いを受け、今回のFOMCで+0.75%の利上げを決定するとの見方が急速に強まっている。
・「米金融引締めの加速に警戒感が広がる中、海外のヘッジファンドなど短期筋による日経平均先物への売りが下げを主導した」との声が聞かれた。
・急速な利上げに伴う景気悪化の懸念が投資家心理の重荷となり、値嵩の半導体関連や機械などをはじめ幅広い銘柄に売りが出た。東エレク・キーエンスが下落した。
●2.日本株:米国株上昇を受けて、日本株も6/16は反発を想定
1)日経平均は直近で▲1,920円下落(▲6.8%)したが、NYダウと比べて堅調と言えた
・6/9高値28,246円⇒6/15安値26,326円=▲1,920円安(▲6.8%)
2)米金利+0.75%引上げ決定を受け、悪材料払拭の「すっきり感」で日本株も6/16は株価の一時的反発を予想
3)自社株買いが継続し、自律反発を支える流れを想定
・4~5月に発表されたTOPIX構成企業の自社株買い設定金額は4.2兆円。2019年の3.6兆円を超えた。
・株主総会前まで、自社株買いが相場を下支えするとみている。
4)売り仕掛けをしたヘッジファンドの買い戻しが入りやすく、利益確定の買い戻しを予想
・日本株の上昇要因となろう。
・日本株の下落時に買い支えた国内勢の売り向かいに注目したい。
5)テクニカル指標のストキャスティクスは、「売られ過ぎ」サインを出し、反発を想定
●3.JPモルガン、円ドルは近く140円超えを予想、日米金融政策の相違で (ロイター)
1)米FRBは6/15に金融政策を発表、日銀は6/16~17に金融政策決定会合で超金融緩和策を堅持するとの見方から、円安進行と予想。円安をもたらしているのは、投機筋ではなく日米の金融政策の違いだ、と説明した。
2)なお、日銀は連日、金利上昇を抑制するために、国債買い入れオペを連発している。
●4.企業は4月以降68.5%が値上げ、円安・原材料高で加速=帝国データ(時事通信)
●5.企業動向
1)出光興産 山口製油所の精製機能停止、需要減に対応(ロイター)
2)日立造船 清掃工場で発生した二酸化炭素からメタン製造の実証実験(FNN)
●6.企業業績
1)HIS 4月中間決算▲269億円と赤字拡大、コロナ渦で過去最大(時事通信)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・6768 タムラ製作所 業績好調
・6473 ジェイテクト 業績堅調
・7564 ワークマン 業績堅調
・9843 ニトリ 業績堅調
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