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「2041年宣言」に向けた、住友林業の着実な歩みを見た!
メルボルンで建設する木造高層オフィスの内部イメージ。(画像: 住友林業の発表資料より)[写真拡大]
前21年度から12月期決算に移行した住友林業(東証1部)が、19年4月~20年3月期の積年ベースと比較し「25.5%増収、134.2%経常増益、213.0%最終増益(史上最高益)」と好調ぶりを見せつけた。そして今22年12月期は、「10%の増収(1兆5240億円)、4.3%の経常増益(1185億円)」と順調を持続する計画で立ち上がった。前期を収益の3本柱から簡単に振り返ると、こんな具合だ。
【こちらも】木造ビル&木造マンションの時代が幕開け!
★木材建材事業: コロナ禍の影響は受けたが、流通事業はバイオマス発電用木質燃料の取り組み拡大がフォロー。製造事業も製造コスト上昇や海外のコロナ禍による売り上げ減はあったが、MDF(中密度繊維版)やLVL(単層積層板)販売増がカバー。全体として3.0%減収に止まり「63.8%の経常増益」となった。
★住宅・建築事業:戸建注文住宅は受注好調も、(世界的な)建材コストの上昇を主因に「7・8%増収、13・0%の経常減益」。
★海外住宅・不動産事業: 主力米国で「最低水準の住宅ローンや都市部から郊外への住み替え需要」と「ロックダウン等のコロナ対策」が綱引き状態も、「61.4%の増収、202.1%の経常増益」で好調に着地した。
今期については日本・米国での「コロナ特需」ともいえる戸建住宅環境に一巡感も、高止まり。材料木材の高騰も一巡から、順調な計画で立ち上がったと捉えられる。株価動向も2000円台前半と昨年来高値から300円水準下値で踏ん張っており、またIFIS目標平均株価は3216円と1000円幅上値と割安感で応じている。
が、私が真に興味があるのは、少子高齢化の進捗で足踏みが懸念される戸建住宅をカバーする部門となる「木質ビル・建造物」の進展具合だ。
2019年2月4日の企業・産業欄に『住友林業の「木造」70階建てビル構想に期待したい』と題する原稿を、そして「住友林業よ、一層奮起せよ」というつもりから21年7月28日の企業・産業欄には『木造ビル&木造マンションの時代が幕開け!』という記事を投稿した。発現が続いている木造建屋、計画が発表されている木造ビル・施設を記した。
無論、住友林業も「MOCCA」なる木造化・木質化の事業ブランドを旗印に事業展開は進めている。HPを覗いてもらうと分かるが「中層ビル」「学校施設」「飲食店」「介護施設」等々が建設されている。だが同社の「2041年までに都内で高さ350m・地上70階建ての木材を主部材としたビルを建設する」とする宣言(2018年2月)の前には、失礼ながら食い足りなさを覚える。が、住友林業では、こんな動きが公に発信されている。
『豪州メルボルン市近郊のコリンウッド地区で、RC造木造のハイブリッド構造の地下2階・地上15階建てのオフィスビルを23年8月の竣工を目途に建設する。約4000m3の木材を使用、約3000tのCO2を固定する。建築時に発生するCO2は全構造をRC造とする場合と比較し40%少ない』
41年宣言に向かい、着実に歩みは進んでいるといえそうである。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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