ユニコーン企業予備軍:TableCheckが仕掛けた実証実験の狙い

2021年9月9日 16:11

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(画像: TableCheckの発表資料より)

(画像: TableCheckの発表資料より)[写真拡大]

 財経新聞にも何度か投稿したTableCheck(テーブルチェック)から『効率的デリバリーで低コストを実現する新フードデリバリー 「ミノージャパン」とオフィス向けランチで実証実験開始』と題するニュースリリースが、9月1日付けで配信されてきた。内容に目を通し、発信者(M氏)に取材した。原稿にしようかどうかを決めるためだった。

【こちらも】オフィス版「ランチ自販機」を展開する、OKANとは

 私は8月4日に企業・産業欄に、『オフィス版「ランチ自販機」を展開する、OKANとは』を投稿した。ビルにも飲食自販機を売り込み、導入実績を積んでいる業者である。M氏の電話口から伝わってきた声に「これはOKANにとってライバル、難敵が登場するかもしれない」、「テーブルチェックはダテにユニコーン候補企業と称されていないな」と感じた。ゆえに、原稿を書くことにした。

 ミノージャパンは2020年2月設立のスタートアップ企業。「Minnow Pod」と呼ばれるフードロッカーを企業に設置し、午前7時から11時に受けた希望ランチメニューを配送する。「お昼休みを取り戻せ」がミッション。要するに、ランチ難民を救えというわけだ。その意味では、OKAN登壇と同様の背景。

 なかなか指定階にエレベーターが止まらず、順番待ちに時間にイライラする。店前で並び、ようやく席についてもオーダー品が目の前に出てくるまでの時間待つといったタイムロスを割愛しパワーを充填できるように・・・という次第。

 が、導入の実績自体は未だ数社規模にとどまる。しかし大手不動産の三菱地所グループなどが導入している。クラウド型レストランマネジメントシステム、及び飲食店検索・ネット予約システムの開発・提供を展開するテーブルチェックにとっては、いわゆる「脈あり」企業。

 まずは自らが既に顧客としている都千代田区・中央区のオフィス・飲食店を、営業対象とする形でフォローする。M氏は言った。「既存のフードデリバリーサービスは、手数料が約40%(ミノージャパン調べ)と高い。だがミノージャパンはオーダー時間帯の集約や効率的な集荷で、その2分の1以下に抑えている」。

 実証実験の結果いかんでは、「Minnow Pod」の営業先としてテーブルチェックが掌握しているエリアを段階的に開放していくことが、容易に想像される。M氏はこうも言った。「今後はランチ帯だけでなくディナー帯への対応や、当社との機能連携による予約管理の自動化の実装を視野に入れている」。

 ユニコーン企業予備軍は、着々と足場を固め足跡域の拡充に努めている。そう実感させられたニューリリースだった。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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