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積水ハウスに、「騙される方も悪い」という思いが頭から消える道を進むことを切望したい
俗に「騙す方も悪いが、騙される方も悪い」といった指摘がなされる。
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プレハブ住宅最大手の積水ハウスが「(収益面で)立ち直り基調に入った」と伝えられた際、「騙される方も・・・」が脳裏に浮かんだ。確かに積水ハウスは前1月期決算「1.3%増収、9.1%営業減益、12.5%最終減益」を開示すると同時に今1月期を「4.3%増収(2兆5520億円)、7.2%営業増益(2000億円)、9.3%最終増益(1350億円)」計画とし、かつ「9期連続増配予定」及び「自社株買い」を発表した。
今期増益基調に転じるであろうことは、前期の下期以降徐々に浮上していた。コロナ禍の中での営業自粛制限や戸建て・賃貸住宅の新規・リフォーム受注が減少した。だが段階的な制限緩和で、下期は増加傾向に転じていたからである。積水ハウスの収益動向の足元・今後については、後述する。
が、それでも「騙される方も・・・」が拭いきれなかったのは、いわゆる地面師に55億5000万円を騙し取られた顛末が「チクリ」と胸に刺さっていたからだった。詳細は、ノンフィクション作家:森功氏の「地面師」に譲る。JR山手線・五反田駅から徒歩3分の約600坪の旅館敷地が舞台だった。
森氏も語っているように「不動産・大手住宅業者にとっては、垂涎の土地」だった。積水ハウスの上層部が「欲しがった」のも、無理からぬ話である。そこを地面師に突かれた。
ただ私がしっくりいかないのは、積水ハウス側の幕の下ろし方だ。事件当時の「和田勇会長VS阿部俊則社長の内紛劇」。仕掛けたのは?和田氏。だが阿部氏陣営の反撃の前に、和田氏は今年3月に特別顧問になった(実質上の退社)。
そして4月には和田氏をはじめとする「経営陣刷新」を求める株主提案が、株主総会で却下された。この間の経緯(何故)は、積水ハウス側から公には説明されていない。が、森氏は「事件は社長案件だと言われていた」としている。スッキリしないのはそうした理由からである。
が、もうこれ以上は言うまい。同社には取材で幾多お世話にもなっていることもあるし・・・。(株主・投資家に対する)汚名は、本業の伸長で晴らしていく以外にあるまい。手も実際に打たれている。
土木建築事業は2019年の鴻池組の連結子会社化で、着実・大幅な売り上げ増を実現している。シャーメゾン/ブランドの賃貸住宅の一括借り上げ・管理受託件数が順調な伸びを見せている。アナリストの評価も、「ホテルライク仕様で高品質な賃貸住宅への入居ニーズを捉えたことが、高水準の入居率の維持につながっている」と高い。マリオット・インターナショナルと連携し、道の駅に隣接するホテルを4府県に8施設開業。地方再生事業にも積極的な姿勢を見せている。
騙される方も云々が、頭から消えるような実績を今後も積み上げて欲しい。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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