相場展望4月26日 バイデン増税実現なら、今年末まで増税前の株売りに注意 日本株、業績相場で煽る「4月上昇の特異月」は空振り?

2021年4月26日 08:29

印刷

■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)4/22、NYダウ▲321ドル安、33,815ドル
  ・米株3指数は史上最高値圏にあり、短期的な過熱感を警戒した売りが景気敏感株などに出た。(日経新聞)
  ・その後、バイデン大統領は富裕層向けキャピタルゲイン税の導入を提案との報道で、株価はさらに大幅下落した。

【前回は】相場展望4月22日 初夏、米国発のテーパリングと金融市場の混乱に警戒

 2)4/23、NYダウ+227ドル高、34,043ドル(フィスコ)
  ・前日に続き、増税が回復の妨げとなる懸念があり下落したが、4月PMIや3月新築住宅販売件数が予想を上回ったため、強い景気回復への期待が再燃し、上昇に転じた。

●2.米国株の銘柄選別の流れに変化、ハイテク株⇒景気敏感株⇒個別業績株と流れが展開か

 1)今年1~3月期は、業績敏感セクターの株価は景気回復による業績期待の高まりで上昇した。しかし、4~6月期以降の1株当たり利益(EPS)の動向を見ると、低下傾向にあることを示唆している。つまり、セクターとして景気敏感株は上昇がピークに達し、リスクが増える傾向にある。

 2)そして、業績好調な個別銘柄には株価が素直に反応し上昇する方向に、相場の流れが変化し始めているように見受ける。

 3)米国株は、適度に調整をしながら史上最高値を更新しているため、当面はこの状況が続くと思われる。今週は、米GAFAMなど主要企業の決算発表があり、業績改善の強さを見たい。企業決算発表後の5月半ば以降の相場動向に注視したい。

●3.バイデン大統領4/22、富裕層向けに最高税率43.4%のキャピタルゲイン税の導入提案(DZH)

 1)これは、バイデン政権が富裕層への課税強化の一環で、株式などの売却益に対する「キャピタルゲイン(株式譲渡益)課税」の税率を、今のほぼ2倍の39.6%まで引上げると米メディアは一斉に伝えた。(NHK)

 2)増税の内容(ロイター)
  (1)目的: 育児・幼児教育・介護などへ2兆ドル規模の歳出を賄うため。
  (2)対象: 富裕層や余裕のある企業・事業者に対する株式等の譲渡益。
  (3)増税: 
   ・現在、年20万ドル(夫婦合算25万ドル)以上の所得層に課税している税率20.0% ⇒ 39.6%に引上げ。
   ・現在、課せられている純投資所得税(NIIT)の税率は3.8%。
   ・合計で、年20万ドル以上の所得層に対する株式等譲渡益税率は43.4%へ
    現行税率23.8% ⇒ 増税後43.8%。
  (4)見通し: 
   ・増税案の実現には、議会の可決が必要で、共和党からの支持は見込めず。共和党からはインフラ投資計画5,680億ドルと縮小したプランを提案。
   ・身内の民主党の全議員からの支持を得られるかも不透明。
   ・したがって、バイデン政権は増税幅を縮小して妥協すると思われる。
  (5)株影響: 議会で可決されたら、株式は2,000ポイント値下がりする、と市場の声。
  (6)その他: 米国内の州や市には独自の課税があり、増税が実現すると合計の税率が、カリフォルニア州で56.7%、ニューヨーク市では68.2%になる。

 3)この増税案は原案では計画されていたが、3/31のバイデン大統領発表のインフラ投資計画から除外されていただけに、4/22の市場にとってはサプライズに映ったと思われる。4/22は、最近の株式大幅上昇で含み益が増大したハイテク銘柄を軸に、利益確定売りの動きが強まった。米キャピタルゲイン増税が実現すると、増税実施前の2021年末まで売り圧力が継続すると思われる。

●4.米4月製造業PMIは60.6と、3月59.1から上昇し過去最高、予想は下回った(フィスコ)

 米4月サービス業PMIは63.1と3月60.4から予想以上に上昇し過去最高、予想上回る

●5.米3月新築住宅販売件数は前月比+20.7%増の年換算102.1万戸と15年ぶり高水準(フィスコ)

●6.新規失業保険申請件数は前週比▲3.9万件の54.7万件と予想61.0万件から改善(フィスコ)

 失業保険継続受給者数は367.4万人と、前回370.8万人から改善

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)4/22、上海総合指数▲7安、3,465(亜州リサーチ)
  ・中国発の積極的な買い材料に乏しく、主要企業の業績動向を見極めたいというスタンスが強まり、様子見ムードが漂った。

 2)4/23、上海総合指数+9高、3,474(亜州リサーチ)
  ・四半期業績予告をした企業の85%が前年同期比で増益または黒字転換見通しでプラスに転じるなど、企業業績の改善が好感された。
       

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)4/22、日経平均+679円高、29,188円(日経新聞)
  ・前日までの下げが大きく、値ごろ感から買いが入った。
  ・半導体製造装置のオランダASMLが好決算を発表し、半導体関連株が上昇した。
  ・空売り勢の巻き戻しの買いもあり、日経平均は水準を大きく切り上げた。

 2)4/23、日経平均▲167円安、29,020円(日経新聞)
  ・米増税の報道による米国株安と、前日の大幅高の反動で、一時▲400円超下落した。ただ、好調な決算発表の本格化を控え、切り返した後は、模様眺めとなった。
  ・新型コロナへの警戒も重石。

●2.決算発表後の株価反応「地合いは軟調」へ、業績相場到来と煽った「4月特異月」は空振り?

 1)企業業績が好調でも、市場期待に届かない「物足りない」銘柄は決算発表後に売られる傾向が強まった。
   例、安川電機、日本電産、ディスコなど。
  このことから、好業績効果は今年1~3月の株価上昇で既に織り込み済みで、決算発表で材料出尽くしとなる可能性がある。

 2)4/23以降も、25週移動平均29,378円を割り込んだ状態が続き、早期に回復できなければ、相場レンジが下がる可能性が高まりそうだ。

 3)日銀ETF購入が4/21に701億円あったことによる安心感と、証券専門家の「買い煽り」もあり、4/22は日経平均+679円の大幅高となった。先物で買い向かったのは、野村+5,324枚、Cスイス+2,742枚の買い越しが目立った。反面、外資系合計は先物で4/22▲4,476枚もの大量の売り越しとなった。

 4)4/23日経平均▲167円安だったが、外資系先物手口は+1,804枚の買い越し。これは、最近の売り基調の中での短期的な調整買い戻しと見られる。外資系先物合計の買残は、4/23で+177,764枚と買残減少トレンドの中にある。外資系先物買残の推移:2/25、283,641枚⇒3/31、187,653枚⇒4/23、+177,764枚

 5)先物市場での外資系売り越しが続く中での、国内勢の買いだけの上昇は稀な現象だ。買い越し手口は、野村を筆頭に大和など。よって、国内専門家による「買い煽り」と国内勢だけでの上昇相場は長続きしないと見る。

 6)企業の決算発表の本格化はGWを挟んで5月半ばまでであり、アナリスト予想と企業発表数値との乖離がどの程度になるか見ておきたい。企業は新型コロナ変異株含めた第4波で、来期業績予想はより慎重な数値を出してくると思われる。それだけに市場期待値との乖離幅が大きくなるものと見込まれる。

 7)企業決算発表が終わる5月半ば以降、毎年、好材料は少なくなる傾向にある。好業績を発表しても、織り込み済みと市場が反応して下落することもあり得る。過去20年間の4月の日経平均の上昇率は95%と高く、専門家は「業績相場で株価上昇」と煽っているが、3月までの上昇に織り込まれ済みで、「4月特異月」不発の可能性がある。
  日経平均 : 3/31、29,178円 ⇒ 4/23、29,020円 差異は▲158円安
  外資系は日本株式市場の約66%のシェアを占めており、米国株式市場の動向に注視したい。

●3.新型コロナウイルスの緊急事態宣言、4/25~5/11まで、4都府県(日経新聞)

 1)酒類を提供する飲食店に休業を要請し、生活必需品売場を除く大型商業施設にも休業を促す見通し。イベントは原則無観客とし、鉄道やバスの減便も検討課題にあがる。

●4.企業動向

 1)トヨタ  脱炭素で「水素エンジン開発」(NHK)
 2)スバル  半導体不足で米国工場稼働停止、減産規模1.5万台見込む(朝日新聞)
        国内の矢島工場(太田市)でも約1万台の減産。
 3)ワタミ  政策投資銀行から100億円調達(日経新聞)
 4)パナソニック  米ブルーヨンダーの買収は約7,800億円で最終合意(ブルームバーグ)
          サプライチェーン分野で人工知能(AI)を活用したソフト開発が強み
 5)ホンダ  2040年までに「脱ガソリン」電気自動車・燃料電池車へ(朝日新聞)
 6)マツダ  半導体不足で4月国内生産減産へ(中国新聞)
 7)三菱自動車  半導体不足で5月は1.5万台減産
 8)JAL  春秋航空日本を子会社化、コロナ収束後の観光需要狙い (共同通信)
 9)全国百貨店  3月売上高は前年同月比+21.8%増、18カ月ぶりにプラス(日経新聞)
          東京地区は+18.5%増

●5.企業業績

 1)石油資源  21年3月期最終損益+74⇒▲26億円の赤字、特損計上で(日経新聞)
 2)ANA    21年3月期最終利益▲5,100億円⇒▲4,050億円赤字に改善(読売新聞)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・7564 ワークマン  作業服関連。業績好調。株価調整後の反発期待。
 ・4519 中外製薬   製薬大手ロッシュの傘下。業績堅調。株価調整後の反発期待。
 ・9843 ニトリ    家具・インテリア関連。業績堅調。

関連キーワード

関連記事