ZARA対ユニクロ、ユニクロに「分がある」と思える理由

2021年3月23日 11:17

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 ファーストリテイリング(ファーストリ)の柳井正CEOが常に意識しているのが、同じアパレル小売り企業であるインディテックスであることは論を俟たない。主軸ブランドのユニクロ対ZARAはいまや世界市場を2分する好ライバル?である。

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 3月10日付けロンドン発共同電が『ファッションブランド「ZARA」などを展開するアパレル世界大手インディテックス、70%減益に 店舗営業制限響く、ネットは好調』という見出しで、10日に発表されたインディテックスの2021年1月期決算を報じた。

 「新型コロナウイルス流行に伴う店舗営業の制限が響いた。売上高は前期比28%減の約3760億円、純利益は70%減の約1400億円」「外出規制で巣ごもり消費が拡大し、EC販売は好調。77%増の総売上高比率32%強」「店舗数の削減を進めており1月末で9%減の6829店になった」といった内容である。

 ではファーストリの今は、どうか・・・

 前20年8月期は、コロナウイルス禍の影響が下半期の低迷をもたらした結果「12.3%の減収、42.0%の営業減益、49.2%の最終減益」を強いられた。ECに関しては下半期で前年同期比54.7%の増収(1076億円)、総売上高比率13.3%。この限りでは、インディテックスもファーストリもコロナ禍の影響でともに痛手を被った。だが双方とも注力中のECは伸びた、とあい拮抗している感触を覚える。

 共同電はインディテックスの今期計画は伝えていない。対してファーストリは今期を「9.5%の増収(2兆2000億円)、64.0%の営業利益(2450億円)、82.6%の最終利益(1650億円)」の回復計画で立ち上がった。そして開示済みの第1四半期は前年比0.6%の減収も、「23.3%の営業増益、0.9%の最終増益」で通過。9-12月の既存店売上高は前年同期比105.6%。無論、年明け後の「緊急事態再発出」の影響がどう出るか予断は許さない。

 ZARAの第1号店は、1975年にスペインに開設されている(日本の1号店は1998年に渋谷にオープン)。対してユニクロの1号店は1984年に広島に設けられている。柳井氏の「追いつけ追い越せ」でファーストリはインディテックスの背中を追い、「双璧」と呼ばれるまでになった。

 果たして今後の展開をアパレル小売店業界のアナリストはどんな風に見ているのか。数人を取材した。共通した見方は「店舗数は昨年11月末時点でファーストリは総計3681店舗。固定費負担削減の声は聞こえていない」であり、「争点はEC化率をどこまで高めるかだろう」だった。

 固定費負担が相対的に少ない分、ファーストリに「分あり」と思えるが、どうか。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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