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レノバの株価動向が示す、洋上風力発電本格化の号砲
秋田由利本荘洋上風力が想定している由利本荘市沖洋上風力発電のイメージ。(画像: レノバの発表資料より)[写真拡大]
菅義偉首相は先のG20で「2050年までに温室効果ガスを実質ゼロにする」と表明した。この発言にトヨタ自動車の豊田章男社長が「疑義を呈した」と、毎日新聞電子版が17日付けで報じた。オンライン取材で、こう語ったという。
【こちらも】株価も味方する再生エネ発電事業、レノバの実態
「(政府は30年代に新車のガソリン車の販売をなくす方向で検討していると伝えられているが)自動車業界のビジネスモデルが崩壊してしまう」
「日本は火力発電の割合が大きいため、自動車の電動化だけではCO2の排出削減にはつながらない」
「(電気自動車/EVが製造や発電過程でCO2を多く排出することに触れ)そのことを理解した上で、政治家の方はガソリン車なしと言っているのか」
「国のエネルギー政策の大変革なしに、拙速な“脱ガソリン車”に賛成はできない」
正論だと思う。
では政府はどんな形で「エネルギー政策の大変革」を成し遂げようとしているのか。12月18日の読売新聞朝刊は1面トップで、政府の『水素利用による脱炭素へ工程表』とする取材記事を掲載した。読み込んで頂きたい。
また既に、「再エネ海域利用新法」に基づく(洋上)風力発電の拡大策が明らかになっている。11月27日、発電事業者に一般海域の30年間の占有を認める同法に沿って「秋田県沖」「千葉県沖」の4区域の事業者公募を開始した。洋上風力発電本格化の入り口となることが期待されている。
正式に応募に名乗りを上げる企業が、早々に登場している。斯界で世界最大手のオーステッド(デンマーク)と、日本の日本風力開発・ユーラスエナジーの連合軍である。オーステッドの洋上風力発電事業への公募応札は、初めてとなる。また日本風力開発は秋田県の企業と合弁で、洋上風力発電のメンテナンス専門会社を秋田県能代市に設立。地元金融機関からの資金調達や市民ファンドの設立なども検討しているとされている。連合軍が応札を目指す3地域の発電規模は、計114.5万kW。原発1基分に相当する。
こんな風に記すと、今回の政府主導の洋上風力発電の認可は「連合軍で決まり」と受け止められそうだが・・・。公募の受付は2021年5月まで。2021年10月を目途に事業者を選び、数年内の運転開始を目指す。政府は「30年までに発電能力を1000万kWに増やす」と風呂敷を拡げているから、本格化の第1歩に関連業者が目の色を変えることは容易に想像がつく。
株式市場でも、そんな状況が反映されている。2005年に再生エネルギーの発電・開発・運営専門会社として設立され17年2月に上場した、斯界の国内トップ企業:レノバの値動きなどに顕著。3月の712円以降、小戻すも1000円前後で推移。それが10月末から急伸し3395円(12月)まで買われ、本校作成中の時価も3300円。IFIS目標平均株価1668円。時価の予想PER315倍強/同PBR14倍強。
既に同社は17年にコスモエコパワーや東北電力、JR東日本エネルギー開発と共同で、秋田由利本荘市に「秋田由利本荘洋上風力合同会社」を設立している。ちなみに上場初値(1125円)で買い時価まで保有していると、2回の1対2の株式分割効果も加わり投下原資は11.7倍に増幅している。レノバの株価は「再生エネルギー(洋上浮力発電)の本格化」を促していると捉えることもできる。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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