活況を呈する宅食事業の現状と今後

2020年9月8日 07:08

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出前館の福岡エリアの公式アンバサダーにはHKT48が就任。(画像: 出前館の発表資料より)

出前館の福岡エリアの公式アンバサダーにはHKT48が就任。(画像: 出前館の発表資料より)[写真拡大]

 新型コロナウイルス禍でデリバリー需要が伸びている、と指摘される。過日、出前館を実質的に今日の状態にまで率先し牽引してきた中村利江氏(代表取締役会長)と話す機会を得た。

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 出前館の加盟店数は「3万店を超えた。コロナの影響で、通常の4-5倍ペースで新しい店舗がオープンしている」と、コロナの好影響は否定しなかった。「肝要なのは、これを今後にどう活かすべきかが課題だ」として、「例えば、地方の名店の味を首都圏でも味わえる状況を創造したい」と言及した。

 実際に、こんな動きが始まっていると聞いた。仙台に正統派:広東料理の店「KUROMORI」がある。オーナー/シェフ(黒森洋司氏は、2018年の第9回料理マスターズでブロンズ賞受賞)を口説きに口説いた。いま都内にKUROMORIのインキュベーションキッチンが整備され「出前館KUROMORI」が稼働。出前館が配食を担っている。

 デリバリー業界は上場企業に限ってみても、実は幅広い。ライドオンエクスプレスHD(宅配寿司『銀のさら』、宅配釜飯『釜寅』を展開)や、ジェーシー・コサム(中華料理『上海エクスプレス』や洋食『NY・NY』を展開)。宅配弁当ではワタミの『ワタミの定食』、また高齢者・幼児向けに的を絞った『配食のふれ愛』『すくすく弁当』を手掛けるシルバーライフがある。栄養士が電話オペレーターとなって「血液検査の数値改善」を目標とした栄養相談に基づく配食サービスを展開する、ファンデリーといった企業もある。

 コロワイドの敵対的TOBに晒された大戸屋との業務提携に突如踏み切った、オイシックス・ラ・大地は「食材」の宅配大手。食材・弁当の宅配を行うショクブンは、東海地方地盤の小粒だがエリアに浸透した企業。

 大手小売業者の双璧としては、楽天が西友と提携し展開している:楽天西友ネットスーパーと、セブン&アイHDがグループ子会社で運営するネットショップ:セブンミールがある。後者は弁当・食材の他に飲料なども対象として、近場のセブン・イレブンでの受け取り・宅配が可能とインフラを活かしている。

 食品以外の宅配では、料飲店でも個人住宅にも「酒」を配達するカクヤスといった異色の企業もある。兜町筋では「改めて価値が見直されている」とされる、置き薬の老舗:中京医薬品などもある。

 また物流システムで、アマゾンをはじめとするECサイトの管理から配送までを手掛けるファイズHDなども、宅配関連業者といえよう。

 さて活況を呈している感が強い宅配・デリバリー事業だが、コロナウイルス禍に収束の動きが見えた後も存在感を示し続けるのだろうか。興味深い動きが表面化してきている。

 米国配車大手のウーバー・テクノロジーが、日本で展開する食事宅配サービス「ウーバーイーツ」において、ドローンの活用を検討しているという。法整備が必要だろうが、「配達の拠点地域までは小型ドローンで輸送、拠点からは従来通り自転車・バイクで届け先に向かう」というのだ。エリアに網の目のように拠点を設営するコストが削減できる。利用者と飲食店の距離が縮まる。宅配・デリバリーは根を張る、と捉えている証左とも受け止められるが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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