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●第4次産業革命「ネット・AI」
現在進行形と言われている第4次産業革命(インダストリー4.0)は、ネットの普及やAIの利用で進む生産技術革命を言っているようだ。しかし、そもそも「第1次産業革命」からこれまで正確な区分はなく、主に経済学者が提唱している区分であった。
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そこには製造が経済構造を変化させていることを考慮できていない。もっと言えば、経済学においては「生産手段(工作機械など)を労働者に与えて生産・・」程度に捉えており、「生産方式が資金効率を大幅に左右し」、金融施策を支配するほど変化させたとは捉えていないのだ。
また、第4次産業革命では、顧客はネットを通じて多くのオプションを組み合わせた独自の注文(オーダーメイド)を行い、そのオーダーに対し、量産品と同じように直ちにこたえられるシステムを目指している。現在、それにはドイツ政府が熱心であり、自立型AIロボットの開発などAIによる生産管理システムの構築が始まっている。このシステムは「トヨタかんばん方式」が基礎となっており、欧州各社がトヨタの進出を恐れて先行しようと狙っている状態だ。
■産業革命は「現在は第3次である」
先に述べたように、これまでの第1次産業革命から4次までの区分は経済学者などの見立てであり、この区分には疑問がある。「手工業から動力生産」に移行した第1次産業革命に異論はないが、第2次産業革命と言えるのは、「ロット生産」から「多種少量生産」に切り替わったことであるとするべきだ。動力が蒸気機関から内燃機関(ガソリンエンジン)に切り替わり、電気になりコンピュータを使うようになっても、「ロット生産」である限りは「産業革命」と称するのは適切とは言えまい。
なぜならば、「産業革命」と称するには【生産方式が変わり、顧客側に購買スタイルの変化が起きた】時にするべきと考える。つまり、こうなる。「(1)第1次産業革命」で大量生産によりロット生産が始まり、工業製品に出来れば劇的にコストが安く提供される時代が来た。だがそれが現在まで続くロット生産である限りは、動力が電気に替わろうとも、コンピュータ制御に進歩しようとも大きく変わることはなかった。
そうした技術の開発を活かして「多種少量生産」となり、同じものではなく多種類のものが生産され、コストが大幅に安くなって顧客の手に入るようになった時に「(2)第2次産業革命」と言える状態となったと言えまいか。
それが現在、ネットの普及やAIの開発により、100種類ものオプションを自由に組み合わせ、同じものを生産するのではなくほとんど「オーダーメイドのように個別に生産が出来るようになり、量産品の安いコストで顧客に提供できる」時代が来ようとしている。これならば「(3)第3次産業革命」と称することが出来るであろう。
つまり、【(1)第1次産業革命は手工業から動力生産、(2)第2位次産業革命は「ロット生産」から「多種少量生産」、(3)第3次産業革命は「ネット注文」による「オーダーメイド」】と考えると、ユーザー側からの視点では生活の変化が起きており、納得のいく変化と言えよう。「学問的な区分」ではなく、「実生活の変化」により即した実感のある産業革命に見えてくる。
また、各種の複合的技術の進歩を捉えることが出来るだろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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