マニュアルは変更が必須 トヨタの元設計士がスープラ、86の品質に疑問 (1)

2020年5月13日 16:04

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 トヨタの元設計士がスープラ、86など他社との共同設計のクルマについて、『品質保証に疑問が生じている』と問題を提起していることを、日経新聞が報じている。日本経済新聞の記事を一読してみよう。その上で、誤解のないように記しておきたいのは、スープラや86に「品質問題が生じているとの指摘ではない」ということだ。

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 ❝「設計ルール」にダブルスタンダード(二重基準)が生じている❞。それが、これからの設計で迷いを生じさせ、『完璧なトヨタの設計品質にひびが生じる基になるのでは』と危惧しているのだ。これは、大事な検討に値する前向きな指摘であると考える。豊田章男社長がこれを意識できていないはずはなく、設計ルール制度運用も改められるのであろう。

 数万点に上る部品点数で構成されている自動車では、これまで積み上げてきたトヨタの「設計ルール」について、❝「1つでも設計ルールを破ると、どこかで想定外の品質上の不具合が生じる可能性がある。設計ルールに背くことなど、現場の設計者には怖くてとてもできない」❞と元設計者が語っている。

 「ルール化された設計基準を一部で変更すると、どこに影響が出てくるのか分からない」となるのは、大きなシステムでは全体像を誰も掴み切れていないため生じ得ることだ。これは「コンピュータシステム」において、大変危惧されてきたことでもある。よって、最近の自動車においても、機械メカニズムとソフトシステムとの絡みなどで「不良」を取り切れていない状態があるのを感じることが増えた。これは問題だ。

 トヨタは、86でスバルと共同開発をした。水平対向エンジンのノウハウをスバルから得たことは大きな収穫であっただろう。しかし、整備性についてトヨタの規定には適合できていないのは、構造上やむを得ないと考えられる。

 だが、86ではこれで済んでも、今後、多種類の車種を設計していく過程でダブルスタンダードであると、統制が取れずに間違いを起こす可能性が上がる。問題は、「規定変更」を認め、前進するシステムが整備されているのかである。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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