伝統の「油冷エンジン」スズキ・ジクサー250/SF250東京モーターショー2019で発表 (1/2)

2019年11月21日 21:19

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新開発の油冷エンジンを搭載した「ジクサー SF 250」(画像: スズキの発表資料より)

新開発の油冷エンジンを搭載した「ジクサー SF 250」(画像: スズキの発表資料より)[写真拡大]

 スズキの特徴あるエンジンが、東京モーターショー2019で復活した。スズキ・ジクサー250/SF250の「油冷エンジン」だ。

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 通常、機械装置の冷却法は水冷か空冷どちらかの形態だが、「油冷」は潤滑剤として使用されているエンジンオイルを使う。エンジンオイルも熱に触れているため、大量のエンジンオイルを循環させれば水冷と同じ効果が期待できる。水冷の場合は、水とラジエターと別システムを持たねばならず重量などで不利になる。そこでエンジンオイルを冷却剤として使えれば、システムの簡素化が出来て重量・スペース的に有利になるというわけだ。

 一部で記事となっている【第二次世界大戦時の戦闘機に採用されていた「液冷エンジン」から着想を得て開発されたもの】というのは誤りだ。しかし、「冷却」において、油冷はエンジンにとって重要な技術であり続けている。現代では、「熱効率」から言って、「放熱」することは無駄にエネルギーを捨てることとなるため「再利用」したいところだ。

 大きく分けてエンジン冷却には、一般的に自動車に使われる「水冷」があり、もう1つバイクに用いられることが多い「空冷」がある。

 第二次世界大戦時の戦闘機には、この両方が用いられてきていた。日本のゼロ戦は空冷エンジンの代表格であろう。イギリスのスピットファイヤー、ナチスドイツのBF109、アメリカのD51ムスタングなどは、水冷エンジンの代表格である。日本の戦闘機ではほとんどが空冷で、唯一陸軍二式戦闘機「飛燕」だけが水冷だった。しかし終戦末期、エンジンの生産が追い付かなくなり、飛燕の首を切って空冷エンジンを積んだ「五式戦闘機」が作られた。「飛燕」はあまり活躍することなく終わった戦闘機で、日本国内でも語られることは少ない。

 空冷エンジンには水タンクとラジエターが必要なく、軽量化のメリットがある。一方、水冷エンジンでは機首をとがらせることが出来て「空気抵抗の低減」のメリットがある。自動車においては、軽量化とメンテナンス性で空冷エンジンにメリットがある。しかし、水冷ではエンジンの騒音が低減するメリットがある。また、温度変化に対して水冷エンジンは対応能力が高くなる。

 日本の自動車で空冷エンジンはあまり使われてこなかったが、バイクではほとんどが空冷だ。バイクは音の問題がハンディにならずスペース的に有利になるためであろう。空冷エンジンの自動車ではホンダ・1300が語られるが、実用車ではトヨタ・パブリカが筆頭であろう。トヨタ・S800のほうが有名であろうか。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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