孫正義氏はウィーワークにどんな新手を打ってくるのか

2019年9月24日 17:02

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 ソフトバンクグループ(SBG)の社長兼会長の孫正義氏は、次の一手をどう打つのだろうか。9月23日のウォール・ストリート・ジャーナル日本版は「ウィーワークの一部取締役、CEOの退任要求へ」という見出しで次のような内容の記事を配信した。

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 「シェアオフィスを運営する米国ウィーワークの取締役の一部が、アダム・ニューマンCEOに退任を要求していることが分かった。ニューマン氏をめぐっては奇行や薬物の使用が明るみに出ており、同社は先に新規株式公開(IPO)を延期していた。・・・CEOを手放すことを望んでいる取締役の中には、最大の出資者であるSBGに関係する取締役も含まれているという」。

 ウィーワークは、「世界30か国近くの約80の都市に300近いシェアオフィスを展開する、いわゆるユニコーン企業(企業評価総額が1000億円以上の未上場企業)」と紹介される。

 SBGの投資ファンドが、ウィーワークを投資対象としていることは既に知られていた。孫氏自身が昨年、合弁会社(日本法人)についてこうぶち上げている。「設立してまだ間もないが、今年の売上高は倍増、来年も倍増見通し。アリババ(投資をしている中国の電子商取引企業。BtoB、BtoCを展開)のような急成長企業になると確信している」。

 その段階ではSBGの持ち株比率は、公にされていなかった。それが表面化したのは今年9月初旬のこと。双方ともコメントは控えたが、「SBGはIPOによる評価額をめぐる懸念を背景に、ニューマンCEOに上場延期を促した」(英紙:フィナンシャルタイムズ)と報じられた直後だった。

 ウィーワークの取締役がアナリスト説明会を開き「IPOの延期」を発表するのと同時に、「SBGの持ち株比率は29%。ニューマンの持ち株比率も現行の22%から29%に引き上げる予定」としたのである。

 ウィーワークの2018年の収益は「売上高約1800億円」に対し「最終損益は約1900億円の赤字」。設立以来、赤字状況が継続している。SBGはいわばウィーワークにとり資金供給源。が、今回の一件がSBGファンドに「?」に投げかける一因となることは、容易に想像ができる。

 一部には「取締役会の構成人員は7名。ニューマンCEOが7名の属性にもよろうが、保有する権限を使い取締役解任という施策に出ることも予想される」(外資系証券会社役員)という指摘もある。

 無論、孫氏が手をこまねいているとは考えられない。一部報道ではSBGは「解任要求に賛成の姿勢」と報じられたが、それだけになおさら「投資の合理性を訴えるためにも、新たな施策」を執行してこよう。さて、どんな手立てなのか。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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