売れないリーフ、ポルシェ・タイカンはテスラを超えるか “ブランド”が力を持つEV

2019年7月8日 17:22

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上海でデモンストレーション走行を行ったポルシェ・タイカンのプロトタイプ。(画像: ポルシェAGの発表資料より)

上海でデモンストレーション走行を行ったポルシェ・タイカンのプロトタイプ。(画像: ポルシェAGの発表資料より)[写真拡大]

 ポルシェは6月28日、同社初の純粋電動カー(BEV)、「タイカン(Taycan)」の開発が順調であることを発表した。ポルシェ・タイカンは、4ドアセダンとしてパッケージングされているようだ。4座シートは独立した作りとなっているという。

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 パワートレーン(モーター)は最高出力600ps以上、0-100km/h加速は3.5秒以下、0-200km/hも12秒以下。これはBEVの特徴でもある、低速トルクの強さがもたらす低速からの加速性能の高さである。1回充電での最大航続距離は500km以上(NEDC準拠)と発表されているが、ドイツアウトバーンの速度無制限の道路を本気で飛ばすと1時間程度しかもたないとみられる。8万ドル(約900万円)からの価格設定と言われる。

 現在BEVの分野ではアメリカのテスラが先行しており、2017年のアメリカ国内販売は、モデルSとモデルXだけで年間5万台近くを達成。2018年度は11月までの段階で16万台となり、モデル3の生産が軌道にのってきたことを表している。

 モデル3は、2018年8月以降月販2万台近くになり、セダン市場においては車名別ベストテンに食い込むこととなった。テスラの販売台数に占める割合でもモデル3は8割近くとなり、高級車から量産車にテスラは衣替えとなってきている。

 このあたりがBEVの「ステイタス」の捉え方変化が現れるポイントであろう。テスラは富裕層にとってのステイタスであり、それゆえ「実車」が出来るかどうかも分からない段階で注文するのだ。一方、日産・リーフは売れていない。ユーザーとしては実用車と考えると「割高感」があり、ガソリン車と比較して実用性が劣ることを我慢してまで購入する必要がないのだ。

 残念ながら、BEVは未だに1回充電での航続距離が現実300km程度で、さらに80%までの急速充電時間が40分~1時間程度必要であり、大容量急速充電のポルシェ・タイカンでも30分程度かかる見込みで、実用車としては問題が多い。それでもポルシェ・タイカンに急速に予約注文が入るのは、「プレミアムカー」としての「ブランド力」があるからだろう。

 大衆車「モデル3」が発売されて主力車種となったテスラよりも、プレミアムブランド・ポルシェが圧倒的に優れているからだ。言い換えると、まだまだBEVは「金持ちのお遊び」と言える。トヨタが全固体電池などバッテリーのエネルギー密度を上げる努力をしていることは正しい判断で、いずれ実用的なBEVが手ごろな価格で発売されたとき、本格的で、正常なBEVブームが起きるのかもしれない。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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