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銀座で展示されている「スカイライン2000 GT-R レーシングコンセプト」。(画像: 日産自動車の発表資料より)[写真拡大]
■スカイライン2000GT-Rの登場
そして、モデルチェンジ(通称ハコスカ登場)を受けたスカイライン1800のノーズを、今度は少し大人しく15cmだけ伸ばしてスカイライン2000GTが生まれた。その4ドアボディーにレース専用車R380のエンジンをディチューンして積み、登場したのが「スカイライン2000GT-R」だった。その後2ドアとなったが、その時以来GT-Rは2ドアハードトップのスタイリングを変えていない。
【前回は】【ルノー・アルピーヌ・A110と日産・GT-R(4)】GT-RのベンチマークはアメリカンGT
このほど銀座で「GT-R50 by イタルデザイン」と同時に展示された、1972年「スカイライン2000 GT-R レーシングコンセプト」は、初代2000GT-Rをモデルチェンジした次のモデル(通称ケンメリ)である。大きくなったボディではマツダのロータリー勢に勝てないと考え、石油ショックもあったのでレースには登場せず、すぐに生産中止となったモデルだ。
■アメリカンからヨーロピアンGTカーに体質を変える
ツーリングレースで50連勝の金字塔を打ち立てたのが、1世代目のGT-Rだった。ロータリー勢に攻勢をかけられ、それからしばらくは鳴りを潜めた。そしてR32スカイラインの登場の時、GT-Rは復活した。その時、注目するべきはその足回りの変化だった。
パートタイム4WDとなり、コーナーなどスリップを検知すると4輪にトルクを加える仕組みで、このような繊細なメカニズムを基本としてきたことは、アメリカンからヨーロピアンGTに、ベンチマークを変えてきた表れだった。この頃のGT-R は、ベンツ、BMWなどの影響を受けていたと見ることが出来る。元々は、日本人の感性はアメリカよりもヨーロッパの感性に近いもので、現在では独特の感性を発揮していると考えるべきであろう。
現在でもGT-Rは2+2ではあるが、5人乗り2ドアセダンの面影を残しており、モンスターともいえる600psのエンジンを積んだモデルとしては、異色の部類に入る。【GT-R標準車で最高出力419kW(570PS)、最大トルク637N・m(65.0kgf・m)、GT-R NISMOで最高出力441kW(600PS)最大トルク652N・m(66.5kgf・m)】となっている。それはスカイライン2000GTからのつながり、「羊の皮を被った狼」のコンセプトだ。何気ないセダンのエクステリアに、「中身は狼の心臓を秘める」と言ったところだろう。大きな排気量にすると言うよりも、高度なチューニングを施したエンジンを積んでいると言う、ヨーロピアンGTの姿だ。
しかし、現在のGT-Rは日本車として独特の高品質を備えており、きめ細かい配慮が行き届いた「モンスターGT」と言ったところだ。価格についても、標準車は大変お安いと言わなければなるまい。それは、量産セダンの部品を集めて造った当初のコンセプトを引き継いでいるものだ。このことは、日産・GT-Rとなってしまってからあまり知られていないが、フェアレディZと同様良いところなので、そのまま引き継いでほしかった。しかし、「日産・GT-R」をスカイラインから独立させてしまっているので、日産のシンボリックカーとして全てを専用に設計しなおすとなると、高価な車になって行くだろう。
GT-Rが「量産車の部品を使っている」ということは「量産車が高性能な証」となるので、ぜひ、安く高性能な量産部品を使ってほしいものだ。
次は:ルノーと日産の統合について考えよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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