リハビリ難民の課題解決に取り組む豊田通商のヘルスケア事業

2018年10月10日 21:26

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 豊田通商の介護・ヘルスケア事業はグループ企業:豊通オールライフと共に展開されている。大人用紙おむつの販売から始まり、介護保険がスタートした2004年の4月には福祉用具レンタル卸事業を開始。現在は仙台から福岡まで16拠点で介護保険福祉用具の対象13品目を貸与している。

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01年には介護報酬前払いサービス事業を開始。08年には福祉用具総合卸カタログ「ALL LIFE」の制作・販売事業を展開していた会社を買収し介護用品事業に本格参入。同カタログには1万SKU以上が掲載され年間約50万部、全国2000社の介護用品専門業者に配布され、「介護業界のバイブル」と称されてもいる。

 同社では、前記の事業展開を進める中で「介護福祉用品の需要は一層高まる。一卸売り事業から総合介護サービス業へ脱皮を図ろう」との思いを膨らませていった。それがビジョンとなり具現化したのが18年。「自費リハビリ事業」「訪問医療マッサージ事業」である。新たな展開を豊田通商・豊通オールライフの担当者は「成りたい自分になるためのサポート」としこう説明した。

『自費リハビリ事業』

★背景:脳血管疾患や整形疾患等の後遺症に対するリハビリ需要が高まっているが、現行の医療・介護保険制度では日数の制限等で十分なリハビリが受けられない「リハビリ難民」といわれる人々が多数存在している。こうした課題解決に向け2月よりサービスを開始。

★具体策:経験豊富なセラピストが面談・身体状況等の判断を行い、個人の目標に合わせたオーダーメード型リハビリプランを作成。そしてエビデンスに基づく最先端の機器を用いてリハビリを実施する。例えば「空圧式トレッドミル」は脳卒中の後遺症で歩行が安定しない人を対象に、姿勢を良くした状態での安全な歩行訓練が目的。「ケアバイク」は認知機能が低下気味の人に対し、体力向上と認知機能の維持・向上を目的とする。
開業から5カ月余で利用者は30人近い。退院直後には座位保持が不可能だった通所者が、小走りができる状態に改善した例もある。

『訪問医療マッサージ』

日本には現在300万人以上「寝たきり」「歩行困難」な人がいるという。そうした人の中には「世話をされるのではなく、少しででも自分の力で生活したい」と切望する声が多い。

★医師やケアマネジャーと密に連携をとり、利用者の「実現したい生活目標」に向けて施術プランを作成し、運動療法を含めて実施。

★訪問医療マッサージの大手:LEISが開発したシステムを導入し、施術関連情報をリアルタイムに「見える化」。医師等の適切な指示を可能にしているほか、保険請求の適切化にも役立っている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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